問われているのは「モンスター化するか」

「将来、学校と家庭との方針が食い違ったらどうするか」といった、より答えにくい質問をする学校もある。

また「子どもがいじめられていると相談してきたらどうするか」「お子さんが自分のものでない筆箱を持っていたらどうするか」といった類いの問いには、何と答えれば正解なのだろうか。とっさに浮かびそうなのは「加害者のお子さんと話し合わせます」「相手の親御さんとよく話します」「担任の先生に相談します」あたりだが、ジャック幼児教育研究所の渋谷教室・教室長の玉谷美鈴氏によると、「いずれもNG」とのこと。

「1番目の答えは、すでに相手の子を『加害者』扱いしており、最初から話を大きくしています。また、2番目のように、相手の親と話をすれば事態はこじれるだけ。3番目は問題があれば学校が何とかすべきと丸投げ宣言しているようなもの。実はどれもがモンスターペアレント予備軍の答えなんです」

では正解は何か。まずは子どもの言葉を鵜呑みにせず、よく状況を聞き出し、「明日はお友達にこう言ってみようよ」など家庭内で解決する姿勢を見せること。「それでだめなら、担任の先生にご相談申し上げます」という順序が妥当だという。

このような質問をする背景には、私立だからこそ慎重にその家庭の本質を見極めたい事情がある。

「私立は公立とは異なり、学校と家庭との付き合いが非常に長い。小学校から高校までなら12年間、幼稚園から大学までエスカレーター式なら19年間、その家庭と付き合うことになります。学校を真に理解し、近しい価値観を共有できない家庭の子どもを合格させてしまえば、後々大きな齟齬を生みかねません」(大岡氏)

両親への難問も多いが、子ども向けの質問も難問ばかりだ。