ガリ勉よりも天才肌の筑駒

開成と並ぶ都内の名門校といえば麻布高校だが、柿沢未途代議士は開成との違いを「麻布は開成のように各所で同窓会をつくり集まることはしません。自由な校風で、自分の頭で考えて行動をする。自分を殺してまでメインストリームに乗りたいとは考えません。物事に対して斜に構え、権威にたてつき、反抗するタイプが多いのではないでしょうか」と強調する。麻布からは橋本龍太郎、福田康夫の2人の総理大臣を輩出していることでもわかるとおり、出身者に政治家が多いが、大きな存在なのが麻布を卒業した国会議員を支える「麻立(まりゅう)会」だ。

「設立当初は橋本氏を後援することが目的だったこともあり、『麻龍会』とも呼ばれていた。麻布のイメージは政治家の二世が多く、育ちのよさと自由な校風があいまって、やんちゃで無邪気だが、自分の理想にこだわる」と話すのは『政治家・官僚の名門高校人脈』の著書があるジャーナリストの横田由美子氏だ。加計学園問題で安倍政権に造反した文科省の前川喜平前事務次官、現政権に批判的な元経産官僚の古賀茂明氏などは、そのいい例だろう。

東大合格者数では開成に譲るが、筑波大附属駒場高校は「東大合格率では60%を超えるトップクラス。筑波大というよりも東大の附属校といってもいい。面白い学校で、ガリ勉ではなく天才肌が多い」と解説するのは『名門高校人脈』の著者でジャーナリストの鈴木隆祐氏。目立つ存在は少ないが、官界から政界に転ずるOBはおり、隠然と力を発揮している。齋藤健農水相、細田博之自民党元幹事長ら自民党の政治家ばかりではなく、共産党の小池晃書記局長、笠井亮代議士、官界には黒田東彦日銀総裁がいる。

後藤田正純代議士が筑駒気質について説明する。

「僕の同期で財務省だけでも3人、霞が関の官僚では10人ほどいる。ガツガツした目立ちたがり屋ではなく、社会貢献なども自然にやれる人たちが多い。共産党の小池さんとは消費者金融の金利の正常化を目指し、貸金業法改正では意気投合しました。筑駒の校風は自由闊達で自己責任。あるポジションに就きたいから根回しをするというよりも、期せずして裏方から世の中を動かす立場になる人が多い」

東の開成、麻布に対抗するのは西の雄、灘高校だ。灘の卒業生には、ノーベル賞受賞者の野依良治氏や作家の高橋源一郎氏、元経産官僚で投資家の村上世彰氏、西村康稔官房副長官らがいる。