少子化時代に人口が増えている理由
なぜ、福岡は人口が増えているのだろうか。
「国家戦略特区」に選ばれたからとか、「グローバル創業・雇用創出特区」で起業しやすい街になっているからだとか、ここ数年で薄く福岡に興味を持った、住んだこともない知識人たちは語っている。確かに、そういう要因もあるだろう。しかし、それらはほんの味付け程度であり、もっと根本的な要因は別にある。
それは「福岡市はもともと、都市機能の割に人口が少なかったから」である。
2018年現在、福岡市の人口は約150万人だが、試算では2倍の300万人前後まで増えても大丈夫だといわれている。研究者によっては500万人まで増えても大丈夫だという方もいる。この根拠は、福岡市発表の資料「構造改革特別区域計画」のなかからも求められる。
1500万人経済圏の中枢地域高速交通体系等の整備にともない、近年は、福岡に九州・山口1500万人経済圏の中枢管理機能がさらに集積しており、福岡を核として人・モノ・情報の交流構造が構築され、九州・山口の活性化に貢献している。また、九州は約4070億ドル(平成16年)の国内総生産(GDP)を有し、福岡県は、その約4割を占め、九州経済の中心地として発展している。
なぜ福岡が「日本を救う」のか?
上記の資料は2004年のものだが、2005年には九州のGDPは5000億ドルを突破している(九州経済調査協会)。
1500万人の経済圏で「福岡県は4割」と示してあるので、福岡県全体では「600万人の経済圏」とまず試算できる。ここから福岡市内のみのGDPに限定すると、約4~5割なので、240万~300万人となる。ただ、これは「経済圏」という文言であり「居住者(人口)」とはいっていないので注意が必要だ。しかし、それでも現在の福岡市内の人口150万人には遠く及ばず、定量データからは福岡市は「あと100万人程度は、人口が増えても大丈夫」といえるだろう。
さらに、筆者自身の肌感覚や福岡在住の方々の観察、いわゆる数値にはできない「定性データ」でもこのことは裏付けできうる。
たとえば、福岡空港と博多駅は混雑していても、福岡市営地下鉄のひとつ隣、東比恵駅、その次の祇園駅、中洲川端駅で降りると土日祝日であっても空いていることが多い。というよりも、よほど大きな祭りやイベントがない限り、ガラガラといえるレベルですらある。
「福岡は都会といっても平日はガラガラやけんね」は、福岡市民の間では、けっこうよく使われる日常会話の言い回しでもある。