福岡市の人口が増え続けている。人口増加率は日本一で、2035年には160万人に達すると試算されている。観光経営研究者・長崎洋二氏は「福岡人が『平日はガラガラ』とよく言うくらい、もともと都市機能の割に人口が少なかった。そのぶん伸びしろが大きい」と分析する――。

※本稿は、長崎洋二『福岡人はなぜ超活躍するのか』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Nirad)

多くの著名人を輩出する土地

「福岡出身の有名人は多い」――この言葉はどこかで聞いたことがあるかもしれない。「明太子に何か入ってるんちゃうか?」こう言ったのは、ダウンタウンの松本人志だ。自身の番組に『THEMANZAI 2014』で優勝した博多華丸・大吉をゲストに迎え、福岡出身・ミュージシャンの話術の巧みさとともに言及した。話術のプロフェッショナルである松っちゃんがこう発してしまうくらい「福岡人の全体性」に何かを感じたのかもしれない。

確かに、福岡人は近代日本になって以降、さまざまな分野で活躍し、結果を残し続けている。芸能の分野に限らず、政治、ビジネス、アスリート、学術研究などあらゆる分野での活躍者が思いつく。福岡とは、どういった土地なのか。

人口増加率は「日本一」

福岡の全体像を大まかに把握するには「人口」(定量・数値のデータ)と「住んだことがある者による実感」(定性データ)を掛け合わせると理解しやすいかもしれない。

まず、福岡県には100万人規模の都市が2か所ある。北九州市と福岡市である。

かつて八幡製鉄所で栄えた北九州市は、残念ながら2004年4月に人口100万人を割り、2018年1月には95万人を割ってしまった。したがって厳密な100万都市ではなくなったので「人口100万人をマネジメントできる都市機能がある」という表現に変えなければいけないだろう。

一方、福岡市になると話は違ってくる。日本全体が人口減少傾向のなか、福岡市は人口増加傾向にあるからである。しかも、その人口増加率が「日本一」とくれば胸を張れるのではないだろうか。

2015年の国勢調査では神戸市の人口を抜き、横浜市・名古屋市・大阪市・札幌市とともに日本の五大都市になったのは記憶に新しいかもしれない。しかしながら、福岡市民の大半の意見は筆者も含め「え? いままで神戸に負けとったと?」というのが本音であり、県民性を表すひとつの示唆といえるかもしれない。マツコ・デラックスの番組でもやっていたが、福岡人は「日本の三大都市」といえば「東京・大阪・福岡」と信じている人の割合は実は少なくない。そのくらい住み心地がよく、自県に絶対的な自信と地元愛がある。