日産は仏政府への対抗策を経産省と協議していた

今年の春ごろからは日産側はフランス政府が統合に動き出した場合の対抗策について経産省と協議し始めた節がある。そういう動きが日産社内に浮上したときに、ゴーン氏らの不正をただそうとする内部通報があった。

この2つの動きが連動したものなのか、たまたま現場で有価証券報告書の処理などを担当していた正義感を持った社員が内部通報しただけなのかは不明である。

だが今回の事態の推移をみると、この2つの動きが結果的には相互に補完し合い、一気にゴーン氏を追い落とすという動きになったとはいえる。

捜査の行方が見定まらない段階で次を予測するのは難しい。ただ東京地検はゴーン氏らの個人的な刑事責任だけでなく、法人としての日産の責任を追及する方向のようだ。もしもそうなれば、ゴーン氏を追い落とし、フランス政府の介入を防ごうとした経営陣らも責任を取らざるを得ず、今後の経営に主導権を持つことは難しい。

今後の体制づくりを主導するのは経産省OBの豊田氏か

ゴーン氏なき後の日産の経営体制がどう形成されるかは見通せない。ただ西川社長は19日の記者会見で今後のガバナンス体制について独立社外取締役らが中心となる第3者委員会で検討すると語った。

独立社外取締役は過去にルノーで働いたことのある人物と元経産審議官の豊田正和氏、レーサーの井原慶子氏の3人だ。すでに日産は経産省と連絡を取っているとみられ、今後の体制づくりを主導するのは経産省OBの豊田氏であろう。

一方、ルノー側の動きも不透明だ。ルノーの取締役会は20日、ゴーン氏の解任を先送りし、フィリップ・ラガイエット独立取締役を暫定会長に、ナンバー2のティエリー・ボロレCOOを暫定副CEOに据え、事態の推移を見守る姿勢を見せた。

起訴もされていない段階で「解任まではできぬ」という判断だったのだろう。また捜査の進展で事件の核心がどこにあるかが見えてこないと、日産経営陣との協議をするにしても誰と今後の話し合いをすればいいのかも分からない。