「10倍株(テンバガー)」を見つけ出せる本

【個人的ランキング2位】

「宝くじで1億円当たった人の末路」(鈴木信行 日経BP社)

鈴木信行『宝くじで1億円当たった人の末路』(日経BP社)

これほど、タイトルから受けるイメージと本の内容にギャップがあることも珍しい。おそらく、誰しもがこのタイトルから、「宝くじで1億円当たった人のその後の人生が、どう狂っていくのかを描いている」と予想するのではないだろうか。

本書は、そのようなノンフィクションではなく、自分探し、就職、結婚、出産、住宅購入など、人生におけるあまたの選択肢の中で、「仮に○○を選んだ人がどうなるのか?」を、専門家が分析するという一種のノウハウ本・指南書である。

これが文句なく面白かった。しかも、何度も読み返したくなる。誰もが、人生の岐路においてどちらを選ぶか悩むことが1つや2つはあるだろうし、「仮に、あの時こうしていれば……」と振り返ることもあるに違いない。

その選択肢がなんなのか、23の末路のテーマのセレクトが絶妙で、それをアドバイスする専門家の回答も秀逸だ。

いずれの回答も「○○には、メリットもデメリットもあります。最終的な判断は自分のニーズや価値観に合わせて選びましょう」的な無難なものではなく、○か×かを断言している。お金の専門家としてみても、この回答は爽快この上ない。

読者がどう感じるかは別にして、結論に達した論理展開が明快で納得がいくものであれば、人はそれをとても小気味よく感じるものなのだろう。

筆者としては、子どもの名づけに詳しい命名研究家の牧野恭仁雄氏に聞いた「キラキラネームの人の末路」に驚愕した。筆者には中学生の娘がいるが、彼女の周囲にいるキラキラネームを持ったお子さんの末路が、今から気になって仕方がない。

【個人的ランキング3位】

「会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方」(渡部清二 東洋経済新報社)

渡部清二『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)

「私の夢は、四季報を1人1冊、必ず手にしているのが常識、というような未来」。著者・渡部清二氏はそう語るぐらい「会社四季報愛」にあふれており、その愛がこれでもかというくらいに詰まった1冊だ。

本書の最大のポイントは、会社四季報を活用して10倍株(テンバガー)を見つけ出すこと。

テンバガーとは、ハンバーガー10個ではない。フィデリティ「マゼラン・ファンド」の運用に携わった伝説のファンドマネージャー、ピーター・リンチ氏の著書に出てくるウォール街の業界用語で、株価が10倍になる銘柄をいう。

会社四季報の活用法が満載なので、「成長株を見つけたい」「これから株式投資を始めたい」方は、ぜひとも会社四季報を傍らに置いて読み進めると良いだろう。

しかし、筆者が本書をお勧めするのは、株式投資のノウハウ本としてだけではない。会社四季報を読破することによって、身近な会社のこれまで気付かなかったことが分かり、人生を豊かにしてくれる可能性があると感じたからだ。

なお、時間がない方は、第5章「四季報を読む&ための技術」だけでも読むといい。多少、株式投資経験のある方は、第4章「お宝銘柄を見つけるための常識・非常識」を読むと、投資に関する素朴なギモンが解消するのではないだろうか。

一見無味乾燥な数字の羅列にしか見えない会社四季報が、本書を読めば、読み物として楽しめるようになるに違いない。