国にお金がないという理由からも、日本はOECD諸国の中で、GDP比で見た公教育支出が最低水準の国です。OECDインディケータ(Education at a Glance)によると、日本の公教育支出をGDP比で見ると、OECD諸国の中で最下位レベルになっており、たびたびメディアでも話題になっています。

経済協力開発機構(OECD)が公表をした小学校から大学までに相当する教育機関に対する公的支出状況などの調査によると、2015年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める支出割合を見ると、日本は2.9%となり、比較可能な34カ国中で前年に続き最も低いという結果が出ました。ちなみにOECD平均は4.2%でした。

教育費を家庭負担に頼る日本

一方で、日本の子どもにかかる学校関連の費用の総額は、小学校から大学までで1人当たり1万2120ドルとなり、各国平均の1万391ドルを上回ります。教育費が重いのに公的支出の割合は少ないことで、家庭負担に頼っているのが現状なのです。

教育機関ごとに見ると、初等から高等教育以外の中等後教育については多くのOECD加盟国と同様に公的支出の割合は少なくありません。しかし、就学前および高等教育に関しては、多く教育費を私的支出に頼っているのが実情です。

教育機関に対する教育支出の私費負担割合(OECD『図表でみる教育(Education at a Glance)OECDインディケータ 2017年版(カントリー・ノート:日本)』より引用)

「私立高校の無償化」では不十分

とりわけ就学前教育に対するGDP比の公支出は最低レベルになっていて、各家庭での負担の割合が高いのですが、私費を足してもOECD諸国と比べると未就学児にかけられるお金が少なくなっています。つまり、国が子どもの教育にお金をかけていないので、教育費は各家庭における自己負担の割合が高いのです。一部の教育熱心な家庭を除いては、シンガポールの標準家庭よりも教育費にお金をかけていないという印象です。