英国でも「お受験」準備

日本でも子どもを有名私立小・中学に入れるために、お受験準備として塾に行かせたり、家庭教師を付けたりすることはままありますが、英国にもそれに近いものがあります。

ただ、準備を始める年齢に関しては、日本に比べ、スタートが早い人はかなり早いのです。希望校のターゲットを1~2歳から絞り込み、受験に向いた保育園や幼稚園に入れる。または、小学校から公立ではなくプレップ・スクールとよばれる私立の小学校に通わせる、などです。イングランドにはプレップ・スクールがいくつもあり、ウィリアム王子やその息子のジョージ王子が有名プレップ・スクールに通っていたことだけでなく、その前に通ったナーサリー(日本でいう保育園や幼稚園のようなところ)も話題になりました。

また、独立したプレップ・スクールのほかに、いわゆる付属の小学校を併設しているパブリック・スクールもあります。その中には寄宿制で7歳くらいから寝起きを共にし、集団生活に慣れさせているケースもあります。パブリック・スクール入学時にもかなりお金がかかりますが、その準備として、有名なナーサリーやプレップ・スクールに入れるとなると、そこでまた費用がかさみます。私立の幼稚園や小学校に行かずに、公立からパブリック・スクールへ進学する道もありますが、公立校とパブリック・スクールでは、小学校の段階でシステムが違います。ここでは詳しく説明しませんが、ちょっとややこしい部分があるのです。

入学準備のためにフランス語やラテン語も

英国にも「お受験準備」に近いものがある(撮影=トム宮川コールトン)

いずれにせよ、保育園からパブリック・スクール入学を視野に入れた教育を始めると、かなりの金額がかかります。こういったパブリック・スクール付属や有名プレップ・スクールでは、フランス語やラテン語を教えるところも多くあります。これに追いつくため、あるいは入学試験のために、公立小学校や、それらの科目のない私立に通っている子どもに、家庭教師を雇う親もいます。

ただ、公立小学校での成績が良いと、担任の先生などから、パブリック・スクールの奨学生にトライしてみてはどうかという話が出ることもあります。学力面での条件を満たし、面接を通れば、入学する生徒ももちろんいますが、奨学金といっても全額カバーではないケースがほとんどなので、選択するかどうかは家庭しだいとなります。