「われわれが想像している以上にユーチューバーの浸透度は高い。かつて、学校の話題の中心になるような人気のテレビ番組があったと思う。翌朝学校に行くと、クラス中が『昨日あの番組を観た?』と話題にしている、それと同じです」(須田社長)

生配信を行う「ライバー」は広告媒体にはならない

ネットで人気を集めているのはユーチューバーだけではない。いま勢いがあるのは「ライバー」だ。ライバーとは、スマートフォンのライブ配信アプリの配信主を指す言葉で、主に「17 Live」や「SHOWROOM」といったプラットフォームで活動している。ライバーを職業にする人も出てきている。

だが藤田社長はユーチューバーの事業には興味を示すが、ライバーの事業には冷ややかだ。その理由について「ライバーは少人数の濃い世界なので、広告媒体にはならない」と説明する。

「ユーチューバーは『メディア』ですが、ライバーは『コミュニティ』に近い。別の接触媒体であり、ビジネスモデルも違います。ライバーは、閉ざされた空間の中でコミュニケーションをするという世界観を楽しむ、いわばキャバクラやホストクラブに近い。ハマる人はテレビを見るより楽しいと思います。ライブ配信やライバーが将来有望なのは間違いありません。ですが、少人数の濃い世界なので、広告媒体にはならないでしょう」

経営者は「企業の広告塔」といわれる。その意味で、経営者はユーチューバーにはなっても、ライバーになってはいけない、ということかもしれない。

藤田 晋(ふじた・すすむ)
サイバーエージェント代表取締役社長
1998年、24歳でサイバーエージェントを設立し、2000年に当時史上最年少社長として26歳で東証マザーズ上場、2014年9月に東証一部へ市場変更した。創業から一貫して、インターネット産業において高い成長を遂げる会社づくりを目指し、「21世紀を代表する会社を創る」を会社のビジョンに掲げる。
須田 瞬海(すだ・しゅんかい)
CA Young Lab代表取締役社長
内定者の時に株式会社アメスタの子会社立ち上げに参画。2014年に株式会社サイバーエージェントへ入社し、Ameba事業本部広告部門のメディアディベロップメント事業に携わる。2015年にマネージャー就任、同年に次世代リーダー育成制度「CA36」の二期生に選出される。2016年に式会社CA Young Labを設立し、代表取締役社長に就任。
砂流 恵介(すながれ・けいすけ)
ライター
1983年、広島県生まれ。秋葉原でPCショップ販売員の経験を得て、日本エイサーへ入社。宣伝・広報を担当する。2013年12月退社。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。現在は、BtoC企業を中心にPR業務やコンサルタント、WEBメディアでライター、ゲーム実況配信など、多方面で活躍している。
(文・撮影=砂流恵介)
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