自分の「信者」を集められる人は、なにが違うのか。多くのイベントやセミナーで講師を務める小山竜央氏は、「人は自分の代弁者を常に求めている。自分が感じていることを代わりに言ってくれる人がいて、その人がどんなに批判されても、動じない『大義名分』を持っていれば、そこに付いていく人は多い」と指摘します――。

※本稿は、小山竜央『パブリック・スピーキング 最強の教科書』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

「身体6割、声3割、言葉1割」を使いこなす

「メラビアンの法則」を知っているでしょうか。コミュニケーションで相手に伝わる情報は、視線やジェスチャーなども含めた「ボディランゲージ」からが55%、テンポやトーン、大きさや口調も含めた「声の使い方」からが38%、残った7%が話の内容となる「言葉」である、という理論です。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kasto80)

ざっくりいえば「ボディランゲージ」が6割、「声の使い方」が3割、「言葉」が1割ですが、この3つを上手に使えば、カリスマになることも可能なのです。

もっとも大きな割合を占める「ボディランゲージ」は、身体の使い方がポイントになります。人間は、たとえまったく言葉が通じ合わなくても、ある程度、身振り手振りで意思疎通を図ることができます。パントマイマーの動きを見ると、その人が何をしているのかがわかるように、言葉抜きでも身体の動きで情報を伝えることができるのです。

もう1つの重要な要素である「声の使い方」も、やり方次第でさまざまな情報を伝えることができます。ただし、どちらも本当にうまい使い方ができる人は少なく、演劇をやっている俳優、役者といった人たちでもなければ、普段意識して効果的に使うこともないと思います。これらを鍛えたいと思ったら、芝居を見に行って、役者さんたちの身体と声の使い方をよく観察するのがお勧めです。

「言葉」の影響は少ないが決定的

聴衆に影響を与える最後の要素は「言葉」です。言葉自体がコミュニケーションに与える影響は10%程度、正確には7%であり、こう聞くと多くの人が、「大して影響を与えないのであれば、それほど気にしなくてもいいのかな」と感じると思います。

しかし、実はその裏には大きな意味があるのです。全体に占める割合としては小さくても、結果に大きく影響する要素というものがあります。料理を例にしましょう。

料理ではメインの要素は素材そのものであり、それから調理をして、味付けに使う調味料を入れて料理全体が作られます。ここで、同じ食材、同じ作り方でも、塩や砂糖、醤油などの分量を間違えてしまったら、味がまったく変わってしまいます。

調味料が料理全体に占める割合は、10%どころか1%程度かもしれません。それでも、分量を間違えてしまっただけで、取り返しのつかない事態になります。同じように、言葉の影響は、決定的なのです。