政治記者も知らない初入閣12人「その他の大臣」

注目すべきは主要閣僚、党役員以外の「その他の大臣」たちの顔触れだ。初入閣の12人が「その他の大臣」と呼んでいいだろう。

石田真敏総務相、吉川貴盛農水相、宮腰光寛沖縄・北方担当相……と聞いて顔が思い浮かぶ人はあまりいないのではないか。実際、政治部の記者たちでさえ、官邸に続々呼び込まれる閣僚候補たちをみて「今のは誰だっけ」とささやき合っていたという。

この12人の人選について安倍氏は、特にこだわりを見せた形跡はない。各派閥の推薦名簿をみながら機械的に割り振った印象だ。その結果、極めて地味な顔触れとなった。

野党や辛口のコメンテーターからは「在庫一掃内閣」「閉店セール内閣」果ては「冥土の土産内閣」といった酷評が聞こえる。

「right(右寄り)」で「light(軽い)」な顔触れ

安倍氏もその批判は意識しているのだろう。2日夕の記者会見では新閣僚の顔触れについて「地味な世界で経験を積み」「高い調整能力を兼ね備え」「いぶし銀の人材」などと、やや苦しい説明に終始した。

「その他の大臣」たちは、過去に問題発言などで批判を受けた議員が少なくない。貧困女子学生を批判するなどして批判を受けた片山さつき地方創生担当相。南京大虐殺はなかったという立場で言動を重ねてきた原田義昭環境相。旧日本軍の従軍慰安婦を「職業としての売春婦だった」と発言したことがある桜田義孝・五輪担当相……。数え上げればきりがない。しかも、多くは、自民党内にあっても「右寄り」の考えを持っている。

安倍氏は今回の内閣を「全員野球内閣だ」と胸をはるが、野党からは「全員野球といいながらライト(右翼手)ばかり」という皮肉も聞こえる。「ライト」とは「right(右)」という意味だけでなく「light(軽い)」という意味も含まれているように思う。

「ライト」な閣僚たちは今後、連日のようにマスコミや野党の追及を受け続ける。うまく立ち回れるかどうか。はなはだ心細い。