商品の本当の価値をどう探り当てるか

自己表現価値や情緒的価値は、消費者の深層心理部分から引き出す必要があります。その方法として知られているのが「モチベーション・リサーチ」です。

十分な時間をかけて面接する「デプス・インタビュー(深層面接法)」などの手法を用いて、本人の行動や感情の裏に隠れている動機を深掘りして探っていきます。価値創造プロモーションの開発では、このデプス・インタビューという手法を活用しています。

ただ、デプス・インタビューには、多くのサンプル数をこなすことが難しく、回答結果を解釈するうえで客観性が保たれにくいというデメリットがあります。そこで、価値創造プロモーションの開発プロセスでは、デプス・インタビューの結果に基づき、インターネットを用いた調査とテキストマイニング(大量のテキストデータをコンピュータで分析し有益な情報を抽出する方法)を導入することで、大量のサンプル数と解釈の客観性を確保できるようにします。

写真=iStock.com/Yagi-Studio

価値創造プロモーションは、次のような3つのステップで行われます。

(1)デプス・インタビュー
最初にプレ・インタビュー(もしくはグループ・インタビュー)を実施し、対象となる商品に関して、訴求ポイントとなりそうな範囲を絞り込みます。その範囲で10~15人程度を対象にデプス・インタビューを行い、消費者の潜在意識、無意識にある不満や期待などの訴求ポイントを探り、プロモーションの仮説を立てます。

(2)ウェブ・モチベーション・リサーチ
仮説を基に、検証のための調査票をつくり、ウェブを利用して数多くの被験者(1000~1200人程度が望ましい)を対象としたモチベーション・リサーチを行います。調査結果は自由記述が多いため、分析にはテキストマイニングを活用し、仮説の量的検証およびプラスアルファの結果を導きます。

(3)店舗プロモーションの立案・実験
調査結果を踏まえて複数の店頭プロモーション案をつくり、実際に店舗で実験を行い、プロモーション期間中の短期効果とその後の中長期効果を測定し、効果的なプロモーション案を見出します。

3つのステップをすべて行うには10カ月から1年程度かかります。これまでさまざまなメーカーや小売業と実験を行ってきましたが、売り上げが大幅に伸びたプロモーションがいくつも見つかっています。