「『安倍1強』への不満があることを認識せよ」

次に読売新聞の社説。「長期的課題で着実な成果を」と大見出しを掲げ、小見出しで「信頼回復へ謙虚な姿勢で臨め」とくぎを刺す。

この見出しを見る限り、安倍政権擁護の読売社説にしてはかなり中立だ。同じ保守だからといって安倍政権を持ち上げるだけでは社説としての意味も価値もない。このことに読売社説も気付いてきたのかもしれない。

「国会議員票は8割を得て圧勝したが、党員票は6割に届かなかった。『安倍1強』への不満があることを十分に認識し、首相は党内融和に努めることが大切だ」

この部分も肯ける。「安倍1強」の勢いに乗って周囲に圧力をかける姿勢に反省を求めているからだ。

さらに前述した石破氏について言及する。

「石破茂・元幹事長は地方や中小企業重視を掲げ、善戦した。今後も一定の発言権を維持しよう」

ここもその通りだ。安倍首相や安倍政権はもはや、石破氏を無視することはできない。

「ポスト安倍」についてどう考えているのか

続けて読売社説は「長期政権の総仕上げを迎える。首相は自らの責任を自覚し、これまで実現できなかった課題に取り組むべきである。社会保障制度改革や財政再建、憲法改正などが重要なテーマとなろう」と指摘する。

そのうえで「企業の業績や雇用状況は改善したが、好調な収益を賃上げにつなげ、拡大した個人消費が業績を押し上げるという『経済の好循環』は実現していない」と訴え、「アベノミクスの成果と問題点を検証し、弱点を補って経済を安定的な軌道に乗せる。それによって、財政への過度な依存が改善され、金融緩和の出口戦略を描くことが可能になる。その環境を整えることが首相の責務である」と主張する。

いずれも納得できる。そのうえで読売社説は最後に「次世代の人材育てたい」(小見出し)と主張する。

「首相には『ポスト安倍』の育成という課題もある。有為な人材に内閣や党で枢要なポストを任せ、経験を積ませねばならない」
「次世代を担う人材が切磋琢磨することで、自民党の活力は高まる。それが政権浮揚につながろう」

「ポスト安倍」の育成は重要な課題だ。そのためには、目の前の石破氏の人事をどう扱うかが焦点になる。読売社説は石破氏の人事についてもっと突っ込んでほしかった。安倍首相は「『安倍1強』への不満」を認識できているだろうか。来週の人事に注目したい。

(写真=時事通信フォト)
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