たとえば、まずは商品の仕入れである。大量に仕入れるためスケールメリットが働き、安く仕入れられる。それこそ、他の追随を許さないほどに安くできる。

反対に、楽天は自らが調達に関わるわけでなく、出店業者がばらばらに仕入れているので、たとえ仕入れ数が多くなっても、価格が安くなるわけではない。消費者に、安い商品を届けることが、構造的に難しいのだ。

一方のアマゾンは巨大な倉庫やそれを支える物流システムを構築する必要がある。物流システムの建設に投下された費用は固定費である。そのためアマゾンは必然的に売上の極大化を目指さなければならない。ただ、この物流システムこそが他と差をつける戦略的な競争装置だということが分かったと思う。また、次回の記事で詳しく説明するが、固定費の捻出法こそがアマゾンの強みだ。

企業理念を体現するアマゾンの「物流」

アマゾンが倉庫と在庫を持つことは、アマゾンが提言する「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」の体現にはなくてはならないものだ。商品を安くできることはもちろん、まったく別の商品、例えば書籍と洗剤と靴を同時に頼んでも一緒に届けることが可能だ。楽天で買った場合、それぞれが別の店なので、もちろん別々に発送されてしまい、配送料が膨らむ。商品の保管方法や梱包も出店者任せのため、アマゾンに比べると物流品質もまちまちである面は否めない。

2017年に楽天が取り扱った流通の総額は、約3.4兆円と前年比で14%増えてはいるが、この数字は楽天トラベルなども含めたグループ総額の数字だ。じつは、以前まで楽天市場の流通額は開示されていたのだが、2016年以降はない。それまで開示していた情報を開示しなくなるというのは、「あまりうまくいっていない」可能性が高いのかもしれない。

2017年12月末時点の楽天市場の出店店舗数は、約4万5000店舗でここ数年はほぼ横ばい。客単価も伸び悩んでいる。1990年代の終わりから急成長を遂げてきた楽天も、アマゾンに品揃えで追いつかれ、価格では対抗するのが難しくなっている。「楽天市場」は曲がり角を迎えているのだ。

もちろん、楽天も物流の弱みを認識しており、アマゾンに対抗するために、てこ入れには動いていた。2010年に楽天物流と言う専門の子会社を設立。出店業者の配送を取りまとめる物流センターを全国8カ所に設ける計画だったが、その関連会社が解散し、頓挫している。