石破氏は田中角栄元首相の勧めで政治家に
対抗馬の石破氏は安倍首相より2つ若い61歳だ。
出身は鳥取県で、鳥取大教育学部付属中学から慶応義塾高校、慶応義塾大学で学び、旧三井銀行に入行している。
あの顔つきの割には、お坊ちゃんなのかもしれない。
父親は鳥取県知事や参議院議員を務めた石破二朗氏だ。二朗氏の死後、二朗氏と親交のあったあの田中角栄元首相の強い勧めで政治家になった。
一端、田中派の事務職員となり、1986年7月に衆院議員として初当選を果たし、以後連続当選11回を果たしている。
1993年に小選挙区導入をめぐって宮沢内閣の不信任案に賛成し、自民党を離党した。そして1997年に復党し、2002年に防衛庁長官として初入閣している。
2008年、2012年と総裁選に立候補し、第2次安倍内閣では幹事長や地方創生相を務めた。
一般的には「国防族」として有名だが、「農林水産」分野の知識も豊富だ。
「優勢のまま逃げ切ろう」では度量が小さくないか
さて今回の総裁選の告示を新聞各紙の社説はどう書いているか。
しっかり書いていたのは、毎日新聞の社説(9月8日付)である。中盤から主張をこう展開する。
「候補者同士が討論することによってこそ、党員だけでなく、広く国民が首相にふさわしい人物を見極める機会になる」
「一時休戦によって選挙戦の量が落ちる分、討論会を増やすことで質を補うべきではないか」
なるほど、「量」がダメなら「質」で補うか。見出しも「討論会を増やし質を補え」である。
毎日社説は「石破氏は積極的に論戦を仕掛けることで、首相への不満がくすぶる地方の党員票を掘り起こそうと狙っており、石破氏陣営からは総裁選の日程延期を求める意見も出た」と石破氏サイドに立って主張する。
そのうえで安倍首相陣営をこうたたく。
「首相陣営には自粛期間中も政権の実績をアピールできるという計算があり、『災害対応に全力を尽くす姿を見せるのが一番の選挙運動だ』などの声も聞こえてくる」
「実質的な選挙期間を短くして優勢のまま逃げ切ろうという発想だとしたら、度量が小さくないか」
沙鴎一歩が前述したように安倍首相は計算高い。しかも毎日社説が指摘するように「度量が小さい」のである。