そこで、梶本氏が勧める良質な睡眠をとるための夜からの過ごし方だ。特に(2)~(5)は、毎日のルーティンとして繰り返すことで、日中、緊張して交感神経優位だった状態から、リラックスする副交感神経優位の状態に切り替わりやすくなり、良質な睡眠の導入につながるという。

▼夜から日中にかけての生活習慣ベスト12
(1)就寝約3時間前までにアルコール、コーヒー、タバコ、エナジードリンクをやめる
理由/アルコールは自律神経の中枢を麻痺させ、質のいい睡眠リズムをつくれない。利尿作用で夜中に目が覚めやすく、いびきが増えて無呼吸になる可能性が高まる。コーヒーやエナジードリンクはカフェインの覚醒作用が4~5時間近く、タバコは覚醒作用が1~2時間近く続き、安眠の妨げになる。
(2)就寝1時間半前までにパソコンやスマートフォンの利用をやめる
理由/受け身型で終了時間が決まっているテレビ番組と違い、際限なく動画を見続けたり、SNSでやりとりし続けてしまう。
(3)10分程度の入浴
理由/交感神経が優位にならないよう、汗をかかない程度に少しだけ深部体温を上げることで、体温が下がる際に入眠しやすくなる。40度くらいのお湯に半身浴するほか、シャワーも体が温まるなら可。
(4)入浴後、夕焼けのようなオレンジ色の間接照明か電球照明に変えて、涼しい室内温度でリラックスして過ごす
理由/蛍光灯のような明るい照明は脳が目覚めてしまう。
(5)(4)のとき、最低コップ1杯の常温の水を用意し、お風呂上がりから眠る直前までの間に、体に染みわたるようにゆっくり何回かに分けて飲む
理由/脱水症状や熱中症を避ける。
(6)寝る前にお腹が空いてしまった場合は、消化が良く血糖値が上がりやすいものを食べる
理由/お腹が満たされた状態は入眠しやすくなる。脂ものを避けておにぎりなどを食べてもいい。ただし痩せたいなら控える。
(7)眠くなってからベッドや布団へ
理由/ベッドの上で本を読んだりすると、脳がベッド=眠る場所と認識しなくなり、眠れなくなることがある。
(8)睡眠時の室内はできるだけ暗く、汗をかかない快適温度に設定し、眠りやすい寝具を選ぶ
理由/明るい部屋は脳を覚醒させやすい。汗をかく行為は、自律神経の中枢を働かせ睡眠中も疲れがとれないため、エアコンの活用を。いびきをかく人は右を下にして横向きで眠れる枕がおすすめ。
(9)朝、目覚まし時計で飛び起きない。少しずつ照明を明るくさせ、やさしい音色の音楽やラジオなどを流す
理由/副交感神経が優位の睡眠の状態から、爆音で交感神経を優位にさせて起きると、自律神経を一気に疲れさせる原因になる。
(10)必ず朝食(しっかりとれない場合はヨーグルトだけでもいい)と水分をとる
理由/自律神経をしっかり目覚めさせるため。水分は利尿作用のあるコーヒーやお茶だけだと尿として出てしまうため、ノンカフェインのものもとる。朝運動をする場合は、先に食事をとって自律神経を目覚めさせてから。
(11)日中は男女、季節にかかわらず紫外線対策をする
理由/紫外線は自律神経中枢を疲弊させるので、日焼け止めを塗るなど対策を。特に目から入る紫外線は角膜に炎症を起こさせ、保護物質の色素、メラニンを出そうとするため外出時はサングラス(クリアタイプでもいい)を着用する。
(12)日中、特に昼食後の仮眠
理由/とったほうが午後のパフォーマンスが上がるため、夜の睡眠に影響が出ない程度に、30分くらいまでならとっていい。