――渡邊さんのお寺には、どんな方がいらっしゃるのでしょうか。

40代から上くらいの方がメインですね。でも、「話を聞かせてください」とご相談に見える20~30代の方も。よそから越谷市に越して来られて、菩提寺を持っていないという方が多いですね。宗派が違う方も多くいらっしゃいます。

――檀家さんが子どもの世代に移った時にお寺から離れていくケースが多いと聞いたことがあります。

親の世代では当然と思われていたことが、新しい世代になって、その必要性が見直されるようなことはすでに起こっていると思います。例えば、本堂を立て直す際に寄付を募る場合がありますが、それがとても簡単に出せるような額でなかったとしたら、「いや、ちょっと待ってください」となっても仕方ない面はありますよね。

多様化するお寺とお坊さん

――特に地方のお寺は、人口減少や檀家さんの高齢化で、厳しい状況にあるようですね。

はい。かつて日蓮聖人が鎌倉幕府に提出した「立正安国論」という文書があります。その中に「法は人によって栄える」、つまり教えは人によって栄える、人がいないと教えも広がらない、ということを書いた箇所があります。これを基本的な考え方とすると、人口が減少傾向にある現在、全国的に大変な状況にあると言えると思います。お寺を維持できなくなって、辞められる方も少なくありません。千葉や山梨には日蓮宗のお寺が多いのですが、1人で5軒くらいのお寺を管理されているケースも珍しくない。

渡邊源昇氏

――渡邊さんのように、自分に適した規模のお寺を考えて、開教する方も増えていくのではないでしょうか。

そう思います。もっとも、新たに始める者だけでなく、優秀なお寺の息子さんたちもたくさんいらっしゃいます。例えば、「実家のお寺で生活をするには厳しいから」とそこは人に任せて、自分はほかの土地に布教所寺を作って、その規模をどんどん大きくしているやり手の方とか、あるいは私の地元の先輩で、自分のところのお寺だけでも大変なのに、別に博多でダンスホールを兼ねたお寺をやっているユニークな方もいらっしゃいます。

――ダンスホールですか? お寺と一口に言っても、かなり多様なんですね。

本当に面白いですよ。だから、悲観的になっているだけではダメだなと。もっとどんどん外に発信をしていくようなことも、これからのお寺には必要ではないでしょうか。それによって口コミで広がれば、必ず次につながっていきますからね。