帰省ストレスを激減させるGOODワードとNGワード

「取材結果をもとに、実家に着いたら夫が、『自分がこうしたいんだけどいいかな?』と、妻と話し合ったことを自分のこととして親に伝えてください。たとえば、『お風呂の時間を気にするのが嫌だ』というのなら、『実家の風呂は大きいし、せっかくなら○○○にもゆっくり浸からせてあげたいんだけど、いいかな?』など。あくまで『自分がこう思った』と、主語は『私』で伝えるのです」と黒川氏は言う。さらなるストレスの軽減法として、こう続ける。

「妻への事前取材にしても、親への要望の代弁にしても、大事なのは日頃から『妻がストレスを抱えている』という状態を知っておくこと。そもそもいい夫というのは『妻にときどき腹を立てさせる男』。女性は、日々男性以上に身の回りの細かいことに気を使っています。『夕食はどうしよう、トイレットペーパーが切れていたな、マヨネーズも買わなきゃ』といった具合に次から次へと課題が出てくるのです。それによって、小さなストレスがちょっとずつ溜まっていく。そこで、あるとき、まんまと夫が何か無神経な言動をしてくれると、思いっきり怒りを放出してストレス解消できるのです。でも、それはとてもいいこと。そうやってときどきガス抜きをすることで、また普段の生活をできるようになるのですから」

夫にしてみれば、まったく気にも留めない小さなことで、突然の怒りをぶつけられるように感じるが、それはたまたまリミットに達しただけだということだ。

さらに、「ストレスの蓄積を和らげるのは、涙を出すことです。女性は泣くことでストレスをリセットできますので、実家に帰る前に泣ける映画を一緒に見ておくのも効果がある」という。これで、冒頭のような重い空気を感じずに、実家に向かうこともできるようになるはずだ。

▼妻の帰省ストレスを激減させるGOODワードとNGワード
GOOD
・母親に「○○○はいつも家事に追われて大変だからいまぐらい休ませてやってくれよ」
・自宅に帰ったときに「やっぱり家が一番いいよ」
NG
・帰省の愚痴に対して「そんなこと言ったってしょうがないだろう」
・妻から母親への愚痴に対して「母さんもがんばっているんだよ」

雑誌「プレジデント」(2018年9月3号)の特集「ぜんぶ解決! 実家の10大問題」では、本企画のほか帰省先の実家で起こるトラブル解決法を各専門家が解説。親の認知症、遺産相続争い、運動不足……少し先に迫る問題への対処の仕方がわかるラインナップとなっています。ぜひ帰省のお供に、手にとっていただければ幸いです。

黒川伊保子(くろかわ・いほこ)
1959年、長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業後、富士通でAIなどの研究に携わったのち感性リサーチを設立。著書に『キレる女 懲りない男』(ちくま新書)、『女の機嫌の直し方』(インターナショナル新書)など。
 
(撮影=研壁秀俊 写真=iStock.com)
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