業界格差だけでなく、社内格差も広がる

損保業界は業界トップの東京海上日動火災保険が789万円でトップ。続いてニッセイ同和損害保険と経営統合したあいおい損害保険の733万円。三井住友海上火災保険は708万円、ニッセイ同和損害保険は624万円。機能別分野別再編を将来は考えているというが現在は法律上の問題で、組織はそのまま存続。損保ジャパンと経営統合した日本興亜損害保険は706万円。損保ジャパンは681万円。こちらも当面、合併は予定していない。

証券業界トップは野村証券で2009年の991万円から26万円減の965万円。野村HDは08年9月にリーマン・ブラザーズのアジアパシフィック地域部門や欧州・中東部門を買収、約8000人の社員を抱えた。平均年収は2500万円程度になるといわれている。野村HD全体の倍以上の給与となり、社内で格差は拡大している。また11年春からはグローバル型社員の採用がスタート。新卒でもボーナスを除き年収650万円、従来の初任給の3倍弱が払われる。投資銀行業務、市場取引、ITなどを担当する社員でTOEIC800点相当以上で法務や会計など高度な知識が求められる。内定者約600人の中から40人を抜擢。業界トップの給与水準だが、さらに社内で大きな給与格差が生まれる。

09年9月に三井住友FGとの提携を解消した大和証券グループ本社は08年に比べ40万円アップの747万円。08年度の赤字決算から09年度は黒字に大きく転換した。10年度の第1四半期は再び赤字転落していることから2010年度は再び厳しい局面を迎える可能性が高い。

過払い訴訟や貸付金の総量規制などでノンバンクは厳しい。給与水準も金融業界の中で低く、トップのアコムでも637万円。プロミスが581万円。かつて業界トップだった武富士は9月28日、会社更生法の適用を申請。負債総額は4336億円で業界最大規模の倒産だ。

給与は08年の520万円から478万円まで下げたが、会社再建はならなかったようだ。

※すべて雑誌掲載当時

(宇佐見利明=撮影)