50代以下の世代では安心とは言い切れない

では65歳まで再雇用で働き、年間206万円の収入を得るとどうなるか。その場合、年金は一部支給停止となり、年間36万円がカットされ、支給額は121万円に。とはいえ、厚生年金の加入期間が5年間長くなることでわずかながら65歳以降の年金額が増え、90歳時点での年金総額は110万円多い6612万円となる。それでも、87歳で破綻する計算だ。

そこで、65歳から70歳まではアルバイトで年120万円の収入を得ることを考えてみよう。アルバイトなら厚生年金非加入のため、支給停止にはならない。また加入期間も変わらないため、年金の受取総額は65歳まで働いた場合と同じとなる。それでも働いて収入を得るのが功を奏し、90歳時点で245万円の貯蓄が残る。さらに収入を下げても75歳まで働けば90歳で貯蓄残高615万円、80歳まで働ければ979万円だ。

「70歳まで働けば老後破綻は避けられて、75歳程度まで働けば余裕ができそうですが、現在、50代以下の世代では、残念ながら安心とは言い切れません」

と、横山氏。年金の制度改正により、支給額が減る可能性が高いからだ。仮に90歳までの支給総額が8割程度まで減った場合、70歳まで働いても82歳で破綻、75歳まで働いて84歳、80歳まで働いても86歳で破綻してしまう。

「あくまで仮定ですが8割程度に減ることは見込んでおきたいところです。子どもへの援助をしたいと考える人も多いですが、試算してみると夫婦の生活だけでも大変であり、1円たりとも余裕がないことがわかる。現役時代にしっかり貯めること、生涯現役をめざして働く準備をすること、支出をコントロールすることが重要です」