とりわけ嫌われるのが、前にいた職場との比較だ。

「『前の職場ではこうやっていた』などと言う人が意外に多い。『前の支店ではこうしていたから、おまえらもこうしろ』『なぜやらないの?』と押し付けると、特に古参の社員に嫌われます」(横山氏)

まずは新しい職場のメンバーの話を聞く姿勢を見せるのが得策だ。

「なにも人生相談をせよというわけではありません。これまでどんな仕事をしてきたのかを聞いたり、売り上げデータなどを一緒に見ながら『どこが弱いんだろう?』『この時期に毎年売り上げが落ちているけど、これを補うにはどうすればいいのかな?』などと一緒に考えるふうを装って、部下の考え方を引き出します」(高城氏)

「聞き役」に徹することで組織の状況を短時間で把握し、そこから自分のカラーを出していくのだ。

「事前に話し合いをしていれば、一緒に現状認識したうえで、皆で協力して業績を上げていこうという意図が伝わりやすくなります。なにより、『まずは話を聞いてくれる上司なんだな』と信じてもらえることは、味方を増やすうえで大きな効果を生みます」(同)

これが50代後半、60代で“終の棲み家”となりそうな部門にたどりついた者なら、なおさら言動には気を使わねばなるまい。年下ばかりの職場で、ついぞんざいな口をきいてしまうのは、勤め人の悲しい性である。

年上とはいえ新参者。肩書をタテに上からものを言うのは下の下だ。まずは部下と同じ「水平な目線」でアプローチすべきだろう。

▼プロからの助言
(1)異動・転勤先は「異国」だと思え
(2)人事は人の相性など考えていない
(3)20代:「できない」「わからない」は禁句
(4)30代:まず、“陰の実力者”を見極めよ
(5)異動先の情報は事前に“予習”しておく
(6)40代:新しい部下の聞き役に徹すべし
(7)50代:禁句は「前の職場じゃこうだった」
(8)数少ない武勇伝を繰り返し語るな
(9)60代:年下に“水平目線”で接せよ
高城幸司
セレブレイン社長
1964年生まれ。同志社大学卒業。リクルートを経て2005年セレブレインに経営参加し現職。人事・組織戦略関連のコンサルティングを行う。著書に『社内政治の教科書』ほか多数。
 

横山信治
オフィス・フォー・ユー社長
落語家。信販会社、SBIグループ会社社長などを経て2014年に独立し現職。著書に『職場の理不尽に怒らず おだやかに働く技術』ほか。
 
(撮影=石橋素幸、小原孝博、加々美義人 写真=iStock.com)
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