30代ともなると、新しい職場にできるだけ早くなじむには、その職場の“キー”になる人物、肩書による上下関係だけではわからない“陰の実力者”を見極め、押さえておく必要がある。

「その職場において一番経験が長く、その職場のことを理解している人に教えを請う形が早道」(高城氏)であり、「とくに、地域採用や事務職採用などにより転勤や異動がほとんどない“女性ボス”に気に入られないとダメ」(横山氏)なのだ。

「新しい職場でのしきたりをいち早く知り、日々の事務的な職務をスムーズに遂行するには、女性ボスに頼るのが一番です。“知ったかぶり”するのは嫌われます。一発でアウト」(同)

聞かれてもいないことをペラペラしゃべるのも、墓穴を掘る。

「自分がしゃべるのではなく、相手にしゃべってもらうようにすると、うまくコミュニケーションがとれます。そのためには、『○○社に営業に行こうと思うのですが、気をつけたほうがいいことはありませんか?』というふうに、どんどん質問すること。質問された女性ボスは、あなたに信頼されていると感じます。つまり、あなたに敵意がないことが明白になるわけです」(同)

異動前に、次の職場の情報を“予習”しておくのも1つの方法だ。

「内示が出てから実際に異動するまで、1週間程度はあるはずです。その“猶予期間”に、現在の上司や人事部などを通じて、次の職場にはどんな人がいるかを教えてもらえばいいのです。誰がその職場で一番長く勤めているのかもすぐにわかるでしょう。『新しい職場に早くなじむためにも、経験の長い人に仕事を教えてもらいたい』と言えば、何らかの情報が得られるはずです」(高城氏)

「妥協するヤツは、絶対に許さない」

40代、50代は、会社のさまざまな事業を牽引する課長・部長クラス。新しい職場での人心掌握に努めながらも、自分自身の考え方や運営方針を伝えて浸透させなければならない。

「マナーの1つとして心がけたほうがいいのは、『武勇伝を語らない』ことです。武勇伝が30個もあれば楽しんで聞いてもらえるかもしれませんが、2つくらいしかない武勇伝を交互に、何度も何度も聞かされるのは苦痛です。だったら孫の話や、趣味の話でもしてくれたほうが、まだ相槌も打ちやすいというのが部下の本音でしょう」(横山氏)

業績改善を期待されての異動では、新しい職場で厳しさも見せなければならない。ただし、その入り方には配慮が必要だ。

「開口一番、『この職場は元気がないよね。僕はそういうのが大嫌いなんだ』『俺は仕事で妥協するヤツは絶対に許さないタイプだから、そのつもりでよろしく』などと本音を出しすぎると、部下たちの拒絶反応が一気に高まります。修復は容易ではない」(高城氏)