人気アニメ『名探偵コナン』の劇場版最新作『ゼロの執行人』が空前の大ヒットを記録している。4月13日の公開以降、7週連続で週末動員ランキング1位を獲得。累計興行収入はシリーズ初となる80億円を突破した。過去の劇場版コナン全21作を鑑賞してきたライターの檜原聖司氏はヒットの理由を、「親子2世代」と「安室の女」という2つのキーワードで解説する――。
連載20年以上の人気作品
名探偵コナンは、1994年に『週刊少年サンデー』(小学館)で連載を開始した青山剛昌先生の人気漫画です。高校生探偵として活躍する工藤新一が、「黒ずくめの組織」と呼ばれる犯罪集団の取引現場を目撃し、口封じのために毒薬を飲まされてしまいます。かろうじて死ぬことはまぬがれたものの、小学生の体になってしまった新一。存在が知られ、周囲に危険が迫ることを避けるため、「江戸川コナン」と名乗って幼なじみの毛利蘭の家に居候します。蘭の父で探偵の毛利小五郎のもと、隣人の阿笠博士らの協力を得てさまざまな事件を解決し、黒ずくめの組織を追うという物語になっています。
原作は単行本ですでに94巻まで刊行。1997年からは、毎年劇場版アニメも制作しており、本作までに21作が公開されました。
「コナン映画といえばファミリー映画」というイメージをもつ方が多いかもしれません。しかし近年のコナンは、大人が好むドラマを作ろうとする傾向があります。その背景には「ファンの成長」があります。実際に筆者が映画館に行った際も、子供だけでなく、大学生らしきカップルから子連れの夫婦、幅広い層のファンに愛されている様子が分かりました。
親子2世代がターゲットに
1994年の連載開始から早くも24年。連載当初は子どもだったファンが、今では子ども連れで映画館に来るようになっているのです。現在27歳の筆者は10代から全ての劇場版作品を観てきました。
10年以上開催しているオールナイト上映企画の「名探偵コナン シークレットナイト」は、18歳以上しか参加できないにもかかわらず、常に抽選は高倍率。今のコナンのファンは「子どもや10代」だけではなく、「親と子どもの2世代」になっているのです。