日本でもようやく、さまざまな業種・職種で女性進出が進んできた。だが依然として「やっぱり女性はめんどくさい」とこぼす男性管理職がいる。健康社会学者の河合薫さんは「『男と女は違う』と彼らは言うが、世間でいわれる『女性の特性』にはなんの根拠もない」と指摘する――。

※本稿は、河合薫『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP研究所)の第3章「『女はめんどくさい』と思われている職場」を再編集したものです。

「女性活用疲れ」を起こす管理職たち

「ホンネは、もう女性活用を止めたいんです。うちの会社では7年前から女性の管理職登用を進めてきました。最初の頃はよかった。昇進を諦めていた女性社員が役職を全うしようとものすごくがんばった。周りの男性陣も好意的に女性たちの活躍を受け止めていたので、男女格差は時間が解決すると信じていました。ところが女性課長が増えたことで、ややこしい問題が起こるようになってしまったんです。『管理職にはなりたくない』と文句を言ったり、『今までやってきた部署でやるのが会社にとってもプラスになる』と自分で配属先を上司に進言したり。つい先日も、これまでは地方の支店を2年ほど経験してから昇進というのが慣例だったのに、地方勤務を拒否してきた女性を昇進させることになった。当然、男性社員は面白くない。『女性はわがまますぎる』と嫌がる人も出てきました。結果、女性の管理職は3年前をピークに全く増えていません。男性の場合は、最初はおろおろしても役職に就くと成長する。ところが女性は組織より個を優先します。女性は意識をもっと変えるべきだと思っています」

これは大手企業で部長職についている男性・スギノさん(仮名)の証言です。“女性活用疲れ”とでもいうのでしょうか。スギノさんのような悩みを持つ管理職が、増えてきました。

なぜ「女はめんどくさい」と思うのか

・「女性は『席替え一つでも事前に相談しないと怒る』」とため息をつく課長さん(男性)
・「『相談がある』と言うから解決の道筋を立ててあげたのに、なぜか私への不満をぶつけられてしまった」と苦笑いする男性社員
・「女性だけの会議は長い。みんな意見を言うばかりで何一つまとまらない」と不満げの女性社員etc ……

写真=iStock.com/baona

一様に「女」という属性をめんどくさがり、わがまますぎると不満を募らせる人が最近増えてきました。

私自身「ああ、本当めんどくさい。男の方がラクだなあ」と、幾度となく悲鳴をあげた経験があります。自分だって「女」なのに、実に勝手です。その一方で、「ん? ってことは私もめんどくさいと思われているのか?」と心配になったりもします。

いったいなぜ、「女はめんどくさい」と思われてしまうのか?