就活生から質問を引き出す方法

説明会を行ったときに採用担当者を悩ませるのが、「質問ある方?」と問いかけても、なかなか手を挙げる学生がいない、という事態です。このとき、そこで心が折れてはダメです。

私の場合は、説明会のアンケート用紙に質問欄を設けて、「ではみなさん、アンケート用紙に質問を書き込むところがあります。今からその質問欄に聞きたいことを5分で書いてください」と言います。

すると、ほぼ全員が質問を書きます。質問を書いてもらってから、「では、発表したい方?」と、いきなり挙手ではなく、書いてから聞くという手法を取り入れます。

この方法により、質疑応答が活発になります。学生が手を挙げ、こちらが指名して順に質問発表→回答という時間が続きます。なかには最後まで指名されず「まだ質問が……」という学生も何人か出てきますから、そういう熱心な学生には会場に残ってもらい、全員に対応します。また、アンケートに記載があれば、「誰がどんな質問を創るのか?」を把握することもできます。

質問を引き出すもう1つの方法には、次のようなものもあります。「質問ある方?」と聞いても緊張で学生の手が挙がらないときには、「はい、手を挙げなかったでしょう、みんな」と言ってから、就活生へのアドバイスとなる話を続けるのです。

「いいかい、就活を生き抜く方法を伝授しますね。実は、この場で何を質問できるかということを、企業は見ているのですよ。説明会での発言、発表の積極性を見て、選考合否を判断する企業もあります。あなたは自分で自分の可能性を失っていることを理解していますか?」

この後に再び、「じゃ、はい、質問ある方?」と問うと、先ほどの数倍は手が挙がります。「どうぞ」と学生を指名し、「よかったね、今日ここに来て勇気を手に入れて」と言いつつ、質問の内容に答えていきます。

学生にとって刺激的な説明会、役立つ説明会にするのは人事採用担当者の仕事です。説明会の内容で自社への関心を深めてくれる可能性がありますし、「あそこの説明会は面白かった」と就活生の間で話題になることは歓迎すべきことだからです。

礒谷幸始(いそや・ゆきはる)
リード・イノベーション 代表取締役 コーチング・コンサルタント
1981年、千葉県生まれ。私立江戸川学園取手高校から立命館大学経営学部へ進学。大学時代はアメリカンフットボール部に所属し、主将としてチームを大学史上初の日本一に導く。2003年に卒業後、日本アイ・ビー・エムに入社。営業活動をしながら、社会人アメフトXリーグ1部所属IBM BigBlueのキャプテンを務める。その後、人事として、エンターテイメント企業、東証一部飲食チェーン企業の人財開発部門のGMを歴任。2015年に株式会社リード・イノベーションを設立し、代表取締役に就任。
(写真=iStock.com)
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