就職説明会で横行する「柔軟な働き方」アピール
文部科学省と厚生労働省が発表した今春卒業した大学生の4月1日時点の就職率は98.0%。前年同期比0.4%増となり、過去最高を更新した。また2019年卒大学生の5月1日時点の就職内定率は42.7%と、こちらも前年同月比7.6%増と高い。
深刻な人手不足による超・売り手市場が続いており、学生にとっては結構なことに違いない。一方、企業も売り込みに必死だ。3月1日の広報活動解禁前の「1DAYインターンシップ」に名を借りた企業説明会の前倒し実施をはじめ、学生獲得に向けたピーアール活動を盛んに行っている。中でも目立つのが自社の「働き方改革」のアピールだ。
最近の学生は労働環境に極めて敏感な世代だ。各種調査を見ても残業時間などワークライフバランスや福利厚生を重視し、仕事よりもプライベートを大事にしたい人が圧倒的に多い。日本生産性本部が実施した今年4月入社の新入社員意識調査(3月下旬~4月中旬)でも強く表れている。「残業は多いが、仕事を通じて自分のキャリア、専門能力が高められる職場」と「残業が少なく、平日でも自分の時間を持て、趣味などに時間が使える職場」のどちらがよいかの設問に対し、後者と答えた割合は75.9%。1998年の調査開始以来最高となっている。
残業を嫌うプライベートを重視派が多いことは企業側も熟知しており、19年卒の会社説明会でも「柔軟な働き方」を前面に打ち出す企業も多かった。お決まりのパターンは、充実した仕事と家庭の両立支援制度やフレックスタイム、在宅勤務など諸制度の説明、実態としての育児休業取得率の高さ、近年の月間平均残業時間の減少や有給休暇の取得率などの数字の紹介。現在、実施している「ノー残業デー」や「定時退社の奨励」、あるいはプレミアムフライデーの実施などである。
さらには、ワークライフバランスを実践している先輩社員を登壇させて、「いかに仕事と子育て両立しているか」「効率よく仕事をこなしてアフター5を楽しんでいるか」を語り合う座談会を演出している企業もある。