上頭頂小葉という脳の部位を活性化する
さらに重要なのは、立体パズルが手指、体を使う遊びであることだ。メンタルローテーションに関わるのは、上頭頂小葉という脳の部位だ。
この部位が十分に機能しないと、人としての成長がおぼつかなくなる。しかも、ここの機能の発達は、自分の意思で体を動かし、感覚をつかんでいく経験の積み重ねでしか培われない。幼いからと親が過剰に世話を焼いたり、「やりなさい」と強要される経験は、上頭頂小葉の発達を阻害するかもしれない。
人間の脳は、3歳くらいまでに発達が一段落する。脳の神経細胞の数は、生まれたときが一番多く、3歳までにおよそ7割が死滅する。その後は終生、神経細胞の数はあまり変化しない。
つまり、賢さの基盤をつくるには、脳が大人より活発に働いているこの時期が好機なのだ。
知育玩具は、自分で物がつかめるようになる1歳前後、あるいはもっと早い時期から与えてもいい。自分ではうまくは扱えなくても、親が遊ぶのを見るのでさえ、知覚の発達は促される。
私は立体パズルなら何でも効果はあると考えるが、特に倒れぬようパーツを積み上げていくサボテンバランスゲーム(写真右)をはじめ、磁石でパーツを繋げていくマグフォーマー、シンプルな木の板を組み合わせるカプラ200(写真左、中)は、よく考えてつくられた玩具だ。就学前の子供には学習玩具より、知育玩具をお勧めしたい。
「賢さの基盤」を自然につくる立体パズルがよい
(構成=高橋盛男 撮影=小原孝博 写真提供=ボーネルンド、ブラントイジャパン、有限会社アイピーエス)