LESSON 2
「上司の上司」とパイプをつくる
直接の上司を追い落とすには、上司の人事に影響力を持つ「上司の上司」を動かさなくてはいけない。その際は大義を掲げ、私利私欲からの進言ではないことを示すべきだ。ただ、そうはいっても人事の話はきれいごとでは済まないことが多い。最後の最後は「刺し」にいく覚悟が必要だ。勝算を少しでも高めるには、上司の上司と本音で話せる関係をつくっておくべきだ。
では、上司の上司(あなたが課長なら、部長の上司である担当役員)と、どうやって関係を構築するか。それにはまず、会議などで役員と顔を合わせたときに「できる課長」として認められることが重要だ。いったんそのイメージを確立できれば、役員も注目して気にかけてくれるようになる。
問題は「できる」の定義で、これは会社のカルチャーによる。会議のとき上司の言いたいことを先回りして言う人が評価される会社があるが、予定調和で組織が回るのは平時だけ。こういう会社は今後衰退する。有事のときは、むしろズケズケとものを言う人が評価されるカルチャーを持つ会社が強い。
ただ、上の人間にズケズケとものを言うのは諸刃の剣。特に日本企業の場合、ハマればかわいがってもらえるが、度を越すと斬り捨てられる。会社の環境を変えるのではなく「パイプをつくる」のが目的だから、空気を読んで、ギリギリのラインで忌憚なく意見を述べる絶妙なバランス感覚が必要だ。
ダークサイド・スキルを身につけた社員は、「今回はここまで大丈夫だった。次はさらに少し踏み込もう」と缶蹴りの要領でギリギリのラインを広げていく。「生意気だが憎めないやつ」というポジションは、トライ&エラーの先にあるのだ。