「縦」の思考法ではとにかく否定していく

【佐渡島】ブレストって、誰かが責任を持ちたいアイデアが出てこないんですよ。

【高橋】ですね。だからブレストで成功するには、まず問いの設計が大事。問いがダメだと何も起きない。

【佐渡島】ある人が、自分の持っているアイデアをよりブラッシュアップするためにブレストするんだったら、成立するんですけどね。

【高橋】まさにその通りで、ブレストって自分のためにやるんですよ。壁打ちというか。ブレストでは「否定禁止」というルールが有名ですが、僕はそうじゃないと思うんですよ。正しくは「否定されても傷つかないような雰囲気」。その上で、「それは違う、それはもっとこうしたほうがいい」っていう意見に対して、発案者が「どうすりゃいいんだ」って迷うようなら、そのアイデアはそんなに強くない気がします。

佐渡島庸平さん

【佐渡島】僕、いま思考法を「横」と「縦」の2つにわけているんですよ。「横」の思考法はブレスト。課題解決型の思考法です。お題があって、どうやって解決するのかを探す。無限にアイデアを出して、その中から勝てるものを採用する。アイデアをいっぱい出すためには、否定しないほうがいい。誰も否定しないから、たくさんの人数がいてもいい。

もうひとつが「縦」の思考法です。こちらはとにかく否定していく。そもそもこの企画にどういう意味があるの? 誰がよろこぶんだっけ? そもそも考えるに値するの? なくてもいいんじゃない? とやる。アイデアに対して、徹底的に否定を続けても、耐えられるだけの強度があるかを確かめていくわけです。

【高橋】ひとつの企画に対して、両方の思考法でもんでいくんですね。

【佐渡島】そうです。横、縦、横、縦……と交互に繰り返していきます。ただ、それを同じ日に同じメンバーでやろうとすると、うまくいきません。縦の思考法の否定は企画をよくするためなのですが、10人も集まれば、ここぞとばかりに「あいつに言ってやろう」という空気になっちゃいます。だから縦の思考法は、本当に信頼している少人数でやる。横の思考法は誰がいてもいいですが、その代わり「否定禁止」のルールは守ってもらいます。