大切な老後資金を守り、増やすためにはどうすればいいのか。「プレジデント」(2018年4月2日号)では、だれもが直面する「悩ましすぎる10大テーマ」について、Q&A形式で識者に聞いた。第5回は「親の介護は、自宅か、施設か」――。
孝行息子の暴走が、最大の親不孝に
もし私自身が介護される立場になったら、判断力が失われるギリギリまでは自宅、それ以降は施設がいいと考えます。
施設には大きく分けて民間の有料老人ホームと公的な特別養護老人ホーム(特養)があります。
介護付き有料老人ホームの入居には、入居一時金として0~1億円、月額利用料として10万~40万円程度が必要です。入居一時金が支払えたとしても、年金だけで月額利用料を賄うのが難しい場合がほとんどです。不足分は貯蓄を取り崩すことになりますが、今後は100歳以上長生きすることも珍しくなく、蓄えが底をつくおそれがあります。
それでも本人が自ら施設を選ぶ場合には、費用面も十分に考慮しますから誤算が生じることはそう多くありません。問題は子が親を入居させる場合。特に男性は「母さんの介護費くらいオレが出す」となりがちですが、親の寿命を短く見積もり、大変な事態を招く可能性があります。
母親が100歳になる頃には、介護する子どもも70~80歳に近いでしょう。そのとき「費用が支払えない」と後悔しても、間に合いません。親の介護で無理をすれば、次は自分の子に負担をかけてしまいます。親の介護は三世代に影響することを認識して「親の介護費用は親の資産で賄う」と割り切るべきです。