防衛省が国会で「不存在」としていた自衛隊イラク派遣時の『日報』が、一部黒塗りにした上で公開された。情報公開は歓迎すべきことだが、今回は拙速ではなかったか。国際政治学者の篠田英朗氏は「イラクでは有志連合による治安維持活動が続いている。『日報』の黒塗りは不十分で、機密情報が漏れることで、他国に被害をもたらす恐れがある」という――。
保存されるべき文書であったのは確かだが、政争的文脈の中でなし崩し的に“一般公開”されてよかったのか――公開された「日報」の一部(写真=時事通信フォト)

「戦闘」という字面だけに反応する浅はかさ

自衛隊のイラク派遣時の『日報』が公開された。一部メディアが、「戦闘」という言葉が何度も出てくる、と報じた。それらメディアの論調は、自衛隊を非戦闘地域に送ったという政府の説明はうそだった、といったものであった。

論外であろう。一般の方が開発した『イラク日報検索』で「戦闘」という語を探してみれば、そのばかばかしさがわかる。