飲食店において、顧客を飽きさせずにリピートしてもらうために、定期的なメニューの改定は非常に重要だ。同じメニュー、同じ味が延々と続けば、いずれ飽きが来てしまう。次の来店を促すためにも、新商品を絶えず投入し続けていく必要がある。

また、消費者が好む味付けや食感、風味などは時代とともに変わるため、メニューを微調整する必要もある。ちょっとした変更で、売れ行きが大きく変わるケースも少なくない。実際デニーズでは、2014年にパンケーキの“ふわふわ感”を増したところ、売れ行きが4~5倍になったという。

メニュー改定を小規模にするガスト

面白いことに、競合のファミレス「ガスト」を運営するすかいらーくは、去年からメニューの改定規模を抑える方針を掲げている。店舗作業の簡素化を図るためだという。デニーズとは対照的な動きだ。

ローストビーフとケールの24品目彩りサラダ(画像提供=セブン&アイ・フードシステムズ)

すかいらーくでは、約10万人もの従業員が働いており、オペレーションの習熟度向上が課題となっていた。メニュー改定で客数を伸ばすよりも、従業員の習熟度向上を優先する方針だ。

すかいらーくの売上高は、堅調に推移している。17年12月期は前年比1.4%増の3594億円だった。一方、人件費などを含む販管費が売上高に占める割合は61.7%で、前年から1ポイント上昇した。これは、店舗オペレーションの効率が悪化していることを意味する。そこでメニュー改定の規模を小さくして作業量を減らし、売上高販管費率を抑えたいというわけだ。

ガストは現在、全国で1400店弱を展開し、ファミレス業界における店舗数ランキング1位だ。対するデニーズは全国に400店弱。店舗数ランキングは5位で、存在感が十分大きいとはいえない。ガストとの間には、1100店弱のサイゼリヤ、700店強のジョイフル、600店弱のココスが立ちはだかっている。