28歳の救急救命医は中高6年間ずっと最底辺の成績

【2:「勉強以外に夢中」タイプへのアプローチ法】

「勉強する意味がわからない」という子供の中には、部活や趣味などを優先する「勉強以外に夢中」なタイプもいる。

写真はイメージです(写真=iStock.com/paylessimages)

ある進学校での中高6年間のほとんどを自分の趣味(ミリタリー系)に費やしたため、学年の成績順位は常に下位10%だった、という28歳の男性は筆者にこう教えてくれた。

「成績が悪かったのは、学校の定期試験に熱意を持てなかったからです。勉強することの必要性にどうしても納得感が得られませんでした。教師や親から強制されることに反発してしまう性格だったんですね。ただ、大学受験には必要性を感じたので勉強したって感じです。結局、勉強をする理由を見つけるってことが“受験”や“職業選択”には最も重要なことなのかもしれません。その理由を見つけるにはまず、(趣味など)やりたいことを自由にできる、多様な環境が必要なのだと思います」

彼は“動機付け”ということを強調したが「必要性」を見いだした彼はその後、医学部に合格し、現在は、大学病院の救急救命医として活躍している。

▼西原理恵子「大事なのは自分の幸せを人任せにしないこと」

こういうタイプは納得しない限りはテコでも動かない。親がいくら何を言おうとも「のれんに腕押し」になる可能性が高い。それでも「何か言いたい。黙って見ているのは無理」という親には、こういう語りかけを提案してみたい。

ベストセラーになっている漫画家・西原理恵子さんの『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』(角川書店)の中にこんなくだりがある。

「大事なのは自分の幸せを人任せにしないこと。そのためには、ちゃんと自分で稼げるようになること。食いっぱぐれないためには最低限の学歴は確保する」

これを子供に投げかけてみるのはどうだろうか。子供はしばしば親の話を無視する。でも、彼らは聞いていないように見えて、「本当に大事な話」は心にとめている。「勉強なんか……」と子供が足踏みしてしまっているこの時期、親が本音で「最低限、生きるのにこれが必要!」ということを語ることは意味があると思う。