しかし、高校以降の野球チームに人材を送り込むべき小中学生の野球は、明らかに競技人口が減っている。たとえばリトルシニア関東連盟の場合、登録チーム数は2011年頃をピークに減少傾向にある。リトルリーグ時代からの伝統あるチームが、入団希望者の減少によって次々と廃部や休部に追い込まれているのだ。神宮球場での開幕式に10人で参加するようなチームも多く、中には9人そろわないチームもある。そういったチームが合同チームを作って大会に参加し、何とか持ちこたえているという例も多い。2018年の休部数は6チーム。これは過去に例がない数字だ。

河川敷のグラウンドで集合する球児たち(画像=著者提供)

ここには「選択と集中」の傾向が見て取れる。自前のグラウンドを持っていて、大会の実績もよく、評判の指導者がいるチームでは50人、100人と新規入団者が集まっていることも多いそうだ。リトルシニア関東連盟で言えば、東東京の東練馬シニア、西東京の調布シニア、武蔵府中シニア、東関東の佐倉シニア、北関東の浦和シニアなどがその代表例だ。3学年合わせて何百人という大所帯になり、練習で満足にボールを触れないかもしれないチームに、それでも選手は集まってくる。

チームのマイナス情報はすぐ親たちに流れる

一方で、その近隣のチームには全然選手が入団しないということになる。少子化に加え、子どもたちが希望する地域スポーツも多様化する中で、野球をやりたい子どもは限られているのだ。少しでも良いチームにわが子を預けたい親たちは、「あのチームは指導者が変わった」「あのチームでは内輪もめがあった」などという情報に敏感だ。そうやって競争に敗れたチームは衰退していく。

ほかの中学硬式組織でも、事情は似たようなものだという。あるボーイズリーグの関係者は「ボーイズリーグにおいても競技人口減少に歯止めがかからない状況です。特にボーイズ発祥の関西ブロックの減少は速度を増しています。今では東日本ブロックの選手が人数では上回っているはずです。しかし、その東日本も今をピークに減少に転じると思われます」と語る。