観客の喜ぶ顔にやりがいを感じる

パレードの出発地点のガレージには、巨大な白鳥に乗った白雪姫や、かぼちゃの馬車などがスタンバイしていた。やはり全体的にディズニーランドを模倣しているようだ。待ち時間の間、ヤンリンにスマホを向けて写真を撮ろうとしたら、これからかぶる七人の小人の頭を両腕でぎゅっと抱きしめ、満面の笑顔を見せてくれた。本当にこの仕事と着ぐるみが好きなのだろう。「パクリだからやめろ」なんて言えなくなってしまう。

パレードが始まると、白鳥に乗った白雪姫と王子様を先頭に、ピエロと小人が踊りながら行進した。BGMはこのユーロパークのために作曲されたものらしいが、若者向けのクラブで流れるような激しいビートを刻んでおり、あまり子供向きではない。それでも観客たちは楽しそうに沿道でこちらの方を眺め、写真を撮ったり歓声をあげたりしている。

私は振り付けを間違えないよう、必死にステップを踏みながら笑顔で観客たちに手を振った。観客のなかには、こちらに手を振り返してくれる人もいる。楽しんでもらえているのだと思うと、純粋にやりがいを感じた。七人の小人たちも、私の後ろで軽快にダンスを踊っている。

ハイテンションの小人たち

パレードは園内を半周ほど進み、終着地点の広場に到着した。小人たちはさらにノリノリで、自由自在にステップを踏みながら、観客たちを魅了している。さっき写真を撮らせてくれたヤンリンは特に動きにキレがあり、ダンサーとしてはベテランの域に達している。リズム感も素晴らしい。ただ、本来のイメージだと七人の小人ってもっとこう、大人しくて可愛らしいイメージなのだが……。

最後は周囲にいた観客たちの腕をつかんで強制的にダンスに巻き込みながら、全員が手をつないで輪になり、ぐるぐると走りながら回転。大人数でキャンプファイヤーを囲んでいるような雰囲気だ。

遊園地とは思えないようなハイテンションな空気だが、知らない人同士で手をつないで駆け回るというのは、一体感があってシンプルに楽しい。
パレードは1時間ほどで終了し、控え室へ戻るとまたスマホでのんびりドラマ鑑賞。休んでいる時間がとにかく長いのだ。

その後、規定時間の17時半を待たずに、各自いきなり席を立って散り散りに去っていった。終業ミーティングや挨拶などは一切ない。挨拶なしに突然帰るというのは、日本人の私には何とも落ち着かなく感じたが、そういう習慣なのだから仕方ない。