しかし、注意しておきたい点がある。BTCをはじめとする仮想通貨は、その名のとおり仮想空間で取引される通貨で実体がなく、国が信用を保証する円やドルなどの「法定通貨」とは根本的に違う。また、株式や債券とも異なり、会社や国の資産という価値の裏づけがなく、財務指標などを用いたファンダメンタルズ分析が通用しない。その結果、フェアバリュー(適正価格)を計算できない。つまり、1BTC=1万6000ドルという価格が、割高なのか割安なのかを、誰も判断できないのだ。

変動率が高く、基本「順張り」で

現在のBTCの価格は単純にいえば人気投票の結果であり、人気が続いている間は上がるが、人気がなくなるとすぐに急落する。実際、17年9月に中国政府が仮想通貨による新しい資金調達法である「ICO」を禁止する報道がなされた途端、約20%も暴落した。

こうした値動きの激しさから、米国の投資銀行でも仮想通貨に対する見方はビジネスチャンスととらえる積極派と、実体のないことに危うさを感じる懐疑派に二分される。後者の筆頭、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は17年9月、「BTCは詐欺行為」と発言して注目を集めた。とはいえ、冒頭で触れたように新興国を中心に、仮想通貨に対する実需は今後も増える見通しだ。それに伴いペースはともかく、価値も基本的に上昇すると予想される。

では、BTCはいつ買ったらいいのか。BTCのような価格の変動率が高い金融商品に対するスタンスは、基本的に「順張り」というのが常識だ。価格の水準にかかわらず、売りより買いの勢いが増し始めたら、その流れに素直に乗る。それには日々の価格と取引量を常にチェックし、相場の流れの変化に敏感になっておく。

しかし、BTCは投資ではなく投機と考え、失ってもいい余裕資金をあてたい。また、BTCを含めて仮想通貨は数千種あるといわれる。流動性のあるものを買わないと、売りたいときに売れなくなるので要注意だ。さらに、仮想通貨は詐欺事件が起きやすいため、金融庁に登録した仮想通貨交換業者であることを確認したい。

真壁昭夫(まかべ・あきお)
1953年、神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院(修士)卒業。みずほ総合研究所の主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、法政大学大学院政策創造研究科教授に。
 
(構成=田之上 信 撮影=砂壁秀俊)
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