親が無念さを引きずると、子は「深海魚」になる
わたしは、教育系ポータルサイトで中学受験の「お悩み相談」を担当しているのだが、この時期はこうした質問をよく受ける。
「子が第1志望校不合格で、入試が終わってしばらくしてもまだ落ち込んでいる。どうしたらいいでしょうか?」
この手の質問は、行間に親自身の無念さがにじんでいることが多い。落ち込んでいるのは子ども本人よりも、実は親であるケースがほとんどなのだ。
子どもたちは小学6年生という年齢で、中学受験という大仕事に挑む。まだ11~12歳である。自分の成果をはかる判断基準をたくさんもっているわけではない。だから、最も身近な大人である「親の顔色」が判断基準になるケースが多いのだ。つまり、親が無念さをにじませていると、子は「ああ、自分の中学受験の結果はダメだったのだ」と落胆してしまうことになる。そして、うつむいたまま入学式に参加することになってしまうのだ。
このような子は中高生活で「深海魚」と化す場合がある。「自分はこの学校に来るはずではなかった」という後悔を抱えたまま学校生活を送ることで、勉強だけでなく部活動や友だち付き合いでも消極的な態度をとるようになってしまう。その結果、いつまでも暗い気持ちを引きずり、最悪の場合、不登校になってしまう。力を出し切って受験した結果が、これでは残念すぎる。
▼親は第2・第3志望校の合格に感謝するべし
わたしはこう願っている。
子の進学先がたとえ第1志望校でなく、第2志望校あるいは第3志望校であったとしても、親は子の合格結果を心から喜んであげてほしい。また子に「合格」をもたらせてくれた学校にも感謝の念をもってほしい。
親の喜びは子の「自信」につながるし、中高生活を前向きに送っていこうという原動力になる。意欲的に学校生活を送ることができれば、「第1志望校不合格」の過去は徐々に薄れていく。「自分が通うべき学校はここだったんだ」という意識が芽生えれば、勉強も部活動も友だち付き合いも楽しくなるだろう。