語尾が「た~」「とう~」と伸びたら接待は成功

とはいえ、どうしても話が弾まないこともあります。私もある接待で、ひとりの男性がどんな話題を振っても反応してくれず、苦慮したことがあります。何かしなければと思い、キャバクラ嬢のノリでキャピキャピ話しながらお酒を注いだところ、相手の方も笑顔になってきたので、「これだ!」と思い、「おにいさん、今日何かイヤなことでもあったの~? ブスッとしてるから怒ってるのかと思った~」などと話すうちに、だんだんノッてこられました。その後も席替えで隣の人に、「はじめまして、あかねで~す!」とお酌して回り、大いに盛り上がりました。

幹事が男性の場合でも、自虐ネタや失敗ネタは効果的です。仕事の自慢話は嫌われますが、失敗談は親近感がわきます。以前、ご自身のハゲをネタにお坊さんのモノマネをされた人がいて、とてもおもしろかったですね。ときには「バカ」になるのも大切だと思います。

ちなみに、私のとっておきの宴会芸は、2次会のカラオケパフォーマンスです。衣装を用意し、タンバリンやマラカスを鳴らしながら歌う。ジュディ・オングさんの「魅せられて」が十八番。ただ2次会は近頃はやらない場合も多いので、様子を見て柔軟に対応すればよいでしょう。

こうして接待が終了し、はたしてうまくいったのかどうかが幹事の最も気がかりな点です。それは別れ際ではっきりします。成功の場合は、相手から「楽しかった~!」と握手をしてきたり、肩を叩いたり、「今日はありがとう~!」とハグをするなど思いがけないスキンシップがある。語尾が「た~!」「とう~」と伸びたとき、接待は成功です。「今度、絶対飲みましょう~!」と言われたら大成功です。逆にいまひとつの場合は、「また機会がありましたら飲みに行きましょう」と、淡々とした社交辞令で終わります。接待ではビジネスライクな関係を超えられなかったというわけです。そんなときは反省し、失敗を次に生かしましょう。回数をこなすことで接待術も向上します。

最高の接待の準備は3カ月前から
▼接待3カ月前

・相手のスケジュールを確保
・相手のキーパーソンについての情報収集。
【年代】【性別】【食の好み】【お酒の好み】【出身地】【趣味】【NGワード】
・情報を基に下見をして、お店を選ぶ。
▼接待1カ月前
・接待先に接待時のお店の連絡をする。
▼接待当日
・必ず集合時刻の20分前には入店。店側と直前の料理の打ち合わせ、喫煙所、お手洗いの場所を確認。
▼お開き
・別れ際の言葉の強さ、握手、ハグなどでその日の接待の評価を判断できる。

篠原あかね
1967年、長野県生まれ。リクルートにて企業研修アシスタントを務め、講師としての基礎を学ぶ。金融機関等での役員秘書、ビジネスマナー講師の経験を経て、スマートコミュニケーションズを設立し代表就任。著書に『宴会を制する幹事は仕事も制す。』などがある。
 
(撮影=石橋素幸 構成=田之上 信 写真=iStock.com)
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