佐川氏はうそをつくときほど断定口調になる

なぜこれほどはっきり答えられるのか。

どの新聞もまだ触れてはいないが、安倍首相あるいはその周辺との間に「指示を明確に否定してくれれば、身の保証はしてやる。地検の捜査もつぶしてあげよう」といった約束があるのだろう。そんな「密約」がなければ、あそこまで断言できないはずである。

あの妙に自信たっぷりな佐川氏の表情をテレビで見て「この人は何かを隠している」と感じた人も多いと思う。

しかも佐川氏のこれまでの国会答弁を考えると、うそをつくときほど彼の言葉は断定口調になる。

たとえば昨年2月の衆院予算委員会での答弁。理財局長だった佐川氏は「森友学園との交渉記録は破棄した」と断定口調で答弁していた。このくだりは今年2月9日付のこの連載(「産経も大批判する国税庁長官の"虚偽答弁"」)でも取り上げた。

自ら進んで「トカゲのしっぽ」になる役人根性

復習しておく。

財務省が国会に提出した調査結果によると、昨年2月下旬から4月にかけて5つの決裁文書が改ざんされ、その改ざんに関連してさらに9文書も書き換えられていた。結局、その数は計14文書、300カ所以上にも上った。

財務省は安倍政権が大きな政局に立たされたことで、この改ざんを認めざるを得なくなった。

そして佐川氏を改ざんの最終責任者とまつりあげ、「関与の度合いは大きく、改ざんを知っていた」として佐川氏をトカゲのしっぽ切りのように扱ってきた。証人喚問では佐川氏自らが進んでトカゲのしっぽになったように見えた。

「問題の深さを印象づけた」と朝日

3月28日付の新聞各紙の社説はこぞって佐川氏の証人喚問を取り上げている。

森友文書の改ざん問題を最初に報じた朝日新聞の社説は「膨らむ疑問、募る不信」と見出しを付け、「疑問だらけに終わった佐川氏の喚問は、問題の深さをいっそう印象づけた」と指摘する。

前述した沙鴎一歩の感想と同じではあるが、新聞の社説としてもう一歩踏み込んでほしいと思いながら読み進むと、朝日社説はこう主張する。

「失われた政治と行政の信頼を取り戻すには、二つの疑問を徹底的に解明する必要がある」