授業がつまらないから勝手に歩く
授業が始まってもおしゃべりをやめず、「静かにしなさい」と注意しても聞く耳を持たない子どもがいる。時には「うるせぇーよ、バーカ」「オマエなんか死んじまえ」と乱暴な言葉が返ってくることさえある。
教師への反発心が生じると、「○○ちゃん、ちょっと先生のところに来てくれるかな」と呼んでも、いっこうに応じようとしなくなる。声を荒らげても態度は変わらない。すると、教室の他の子どもたちも「あっ、先生の言うことを聞かなくてもいいんだ」と勝手なことをし始め、授業が成立しなくなる。
心配した親を集めた保護者会でその話をすると、「うちでは私の言うことをよく聞いています。それは先生の教え方がおかしいんじゃないですか?」と反論する母親たちもいる。
「うちの子からは、『先生は僕の言うことを聞いてくれない』と聞いています」「風邪気味だったのに無理して遠足に連れて行ったようですね」と、逆に突き上げをくらうこともある。学校の先生たちからの「今の小学1年生は怖い」というぼやきが増えてきた所以だ。
これに対してマスコミも学校関係者も、「授業時間中に、おとなしくイスに座っていることができない」「先生の話を聞いていることができない」子どもたちが増えてきたその背景や原因は、「家庭でのしつけができていない」とか、「幼稚園や保育所が子どもに我慢することや集団的な規律を学ばせていない」からではないかと問題を外に見出そうとしてきた。
果たして、そうなのだろうか?
そもそも子どもたちは3月まで、どんな日常を送っていただろう。幼稚園や保育所ではお散歩だったり部屋遊びだったりと、その子の興味、好奇心に応じて基本的には自由に遊びを楽しんでいたのだ。それが4月になったら急に座ることを要請され、一方的に話を聞くことを強制される。これ自体にどうも無理があるように思われる。
海外では徐々に机での勉強を体験させていく慣らしの期間を設けるところがあるが、日本ではほとんどそうした慣らし期間が設定されていない。仮に、大人の言うことを聞いて、すぐに全員が静かに座っていられたら、どうだろう。むしろ、そちらのほうが気味が悪い。