銀行員のカモになる高齢者は今後も減らないのか
母の件には残念ながら、このご下命は間に合わなかったが、これにより、金融機関の「カモ」になる高齢者が減ることを祈っている。ただ、このご下命は始まったばかり。現在、親御さんの介護に携わっておられる方、または高齢かつあまり金融系の知識には強くないと思われる親御さんをお持ちの方には、まだまだ注意が必要だ。
たとえ、認知症であろうがなかろうが、高齢者が「自分の金でこの金融商品を買う」と主張したならば、これからも金融機関は今までどおり、法的な手続きをクリアして、そうした「ご要望」に応じることだろう。たとえば母のように「ハイリスク・ハイリターン商品で運用したい」という書類にサインしていれば、その先は合法的な取引になる。
▼金融マンは詐欺師ではない。「職務」に忠実なだけだ
金融マンが詐欺師のような集団というわけではない。おそらく職務に忠実なだけであって、この低金利時代に課せられたノルマや目標を達成する「お仕事」を持っているにすぎない。それが「顧客の利益」ではなく「手数料」を重視する形になっていることが問題なのだ。
信用ある金融機関の、親身になってくれている(ように見える)「私だけの担当者」に対して、高齢者が「言いなり状態」になることは今後も大いに予想される。
親が子に対して積極的に財産開示をすることは少ないようだ。このため高齢な親を持つ者にとっては難しいミッションになるが、まずは親の金融知識がどのくらいのレベルであるのかを世間話の中で見極めてほしい。もし、時代に合わないようであるならば、親の金融資産がどこにあって、どのように運用されているかを、いち早く確認することだ。それは結果として高齢な親を救うことになる。
「振り込め詐欺」や「送り付け商法」など高齢者を狙った詐欺事件は後を絶たない。しかし、「ちゃんとした金融機関」であっても「金融セールスによる被害を受けることがある」ということを肝に銘じてほしい。ご家族は親御さんの大切な財産を、親御さんの納得のいく形で使えるように後方支援をしてあげてほしい。被害者のひとりとして、私はそう願っている。