仕事もバリバリやっていて、精神的にも充実して気持ちは若い。けれど、見た目の若さとは関係なく、生物学的に妊娠はどんどんしづらくなっています。外見や精神と、身体のギャップという現実的な問題が、スタッフの方が計算されているのかはわかりませんが、反映されているように感じました。

ドラマの中で深田さんが結婚するのが33から34歳で、「不妊症ではないか」と悩んでクリニックを訪ねるのが、結婚のおよそ1年後でした。一般的に晩婚化が年々進んでいるので、このあたりもとてもリアル。「1年間普通に性交渉して子どもができない」と、クリニックに訪ねてくるタイミングも、現場の感覚からして非常に納得できる話ですね。

なぜレディースクリニックは混雑するのか

第1話で、五十嵐夫妻はそろってレディースクリニックに検査に訪ねます。「わかばレディースクリニック」はとても混雑していますが、現実のクリニックも待ち時間が長いことがままあります。

オーク銀座レディースクリニックの待合室

これは、ほかの診療所に比べて、レディースクリニックでは医師からの説明が長くなることが多く、一人ひとりの診療時間も長くなりがちだからです。ドラマでの五十嵐夫妻のように夫婦で来ている方もいれば、女性ひとりの患者もいて、このあたりも現実に即していますね。

五十嵐夫妻も驚いていましたが、日本の学会では「1年間普通に性交渉して子供ができなければ不妊症」とされています。日本の産婦人科では、長く「1年で妊娠する方が8割、2年で1割、そして残りの1割が子供のいない夫婦」という考えが一般的でした。このため日本では「2年」が不妊の基準だったのですが、アメリカの学会が「1年」を基準にしたので、近年では日本でも1年が基準になっています。

ただ、こうした基準と年齢は関係ありません。35歳になれば、20代前半よりも妊娠は当然しづらくなっていますし、「いつかできたらいいね」と悠然とするのではなく、このタイミングでクリニックを訪ねるのは、いい決断だと思います。「カップルの6組にひと組が不妊治療をしている」とドラマで紹介されていましたが、実感としては、今はもっと増えているのではないでしょうか。