一般職の能力・意欲の高い女性を「飼い殺し」

筆者が行った、長年一般職として働く女性へのインタビューでもこのような声が聞こえてきました。

写真=iStock.com/violet-blue

「社内では総合職・一般職という職種で分けられ、仕事の内容や責任範囲が大きく異なっているので、一般職であることで、仕事の仕方が受身になってしまうことを感じます」
「教育の機会がほとんどないので、そういった機会をもっと与えてもらいたいです。教育の機会があると、そこで学んだことを仕事に活かしたいという思いが出て、モチベーションも上がります」
「社内で、転換制度は整備されているのですが、総合職になるのはかなり難しいのが現状です。しかも、総合職になるためには、上司が声をかけてくれるわけではなく、自分から積極的に動くことが前提になっているので、ますますハードルが高いです」

入社時の選択を理由に、難易度の低い仕事や成長機会が少ない仕事を続けていては、仕事の経験を通じて、女性の潜在的な能力を引き出すことは難しいでしょう。今後、政府が推進しようとしている“女性の活躍”を加速させていくためには、一般職から総合職への職種転換制度に積極的に挑戦する環境や風土を整備する必要があります。また、能力や意欲の高い一般職女性の成長機会を提供していくことが求められています。

2:フルタイムの一般職より時短の総合職の給料が上

前出の21世紀職業財団の調査には気になる「回答」がありました。

一般職女性の3割が「一般職と総合職の業務範囲が明確でない」と答え、また、一般職女性の5割近くが「総合職からの仕事の引継ぎを経験した」ことも明らかになっています(「2017年度『一般職』女性の意識とコース別雇用管理制度の課題に関する調査研究」)。

実際に、筆者が調査した企業にもこんな事例がありました。

●新卒入社2~3年目の総合職男性と、ベテランの一般職女性の仕事難易度が逆転。
●子育てを理由に短時間勤務で働く総合職女性と、フルタイムの一般職女性の仕事の難易度の差はほとんどないにもかかわらず、給料は短時間勤務の総合職のほうが高い。
●一般職女性が総合職に転換したにもかかわらず、明確に総合職として基幹業務を担う立場にならず、一般職時代とあまり変わらない仕事をしている。