企業はどう対応したらよいか

今回のカタルーニャ独立問題は、宗教的な対立ではなく、民族的な対立が根底にありますが、このような動きが直接的な影響というよりは「飛び火]する形で、こうした世界の地域独立運動を刺激する可能性が高まっており要注目です。これらのことから、日本企業においても、地政学リスクを常に意識することが必須の要件となったと言えるでしょう。

(1) 例えば、海外に進出している企業としては下記のような点の検討・対策が常に必要であると言えます。まず、企業としては、このような地域独立運動が、進出している国・地域の主権をも変える可能性が高く、企業活動に極めて脅威となるということを、認識する必要があります。つまり、「独立」となった場合、政治体制、法令、貿易、金融、通貨等、全ての基盤・制度・政策が変わるということを肝に銘じる必要があります。
(2) このような国・地域の特殊性等については、進出する前後において、カントリーリスクとして、評価し、顕在化した場合の影響等について、対策・対応を想定しておくべきです。
(3)今回のカタルーニャのように先行きが不透明な場合には、当該地域に進出している企業は、「独立」となった場合の影響度を細かく検証し、ビジネスモデルが根底から崩壊する可能性があると認識される場合には、登記場所を変える、さらには拠点の閉鎖、移転等の可能性も視野に入れるべきと言えます。

茂木 寿(もてぎ・ひとし)
有限責任監査法人トーマツ ディレクター。有限責任監査法人トーマツにてリスクマネジメント、クライシスマネジメントに関わるコンサルティングに従事。専門分野は、カントリーリスク、海外事業展開支援、海外子会社のガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)体制構築等。これまでコンサルティングで携わった企業数は600社を越える。これまでに執筆した論文・著書等は200編以上。政府機関・公的機関の各種委員会(経済産業省・国土交通省・JETRO等)の委員を数多く務めている。
(撮影:プレジデントオンライン編集部 原英次郎)
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