11月29日、大相撲の横綱・日馬富士(伊勢ケ浜部屋)が引退した。秋巡業中の10月下旬、鳥取市内の飲食店で同じモンゴル出身の貴ノ岩(貴乃花部屋)に暴行したことを認め、その責任を取った。酒の席で暴力をふるう人は少なくない。事件になり、裁判に出廷した彼らは、口を揃えて「死ぬまで飲まない」という。だが、そんなことができるのか――。

「酒やめます」飲酒して暴れる人の常套句

酒に酔っての暴行事件が世間を騒がせている。

裁判においても暴行、傷害、器物破損といったジャンルには飲酒がらみの事件が多い。酔っ払って気が大きくなる程度ならまだいいが、何かの拍子で怒りの感情に火がつくと、まるで抑えが効かなくなってしまう人がいるのだ。

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忘年会で酒の席が増える時期。今回は、深酒が招いた事件を紹介したい。彼らは酒の力を借りて、いったい何をしたかったのか――。

ひとしきり飲んだ後、焼肉店にやってきた中年男。だが混雑しており、従業員から「順番待ちになる」と聞かされると、なぜか突然激怒。コップの水を従業員に浴びせ、そのコップで殴るわ、蹴りつけるわ、の大暴れ。通報を受けて駆けつけた警官の顔まで殴り、その場で暴行と公務執行妨害の罪で逮捕された。

▼「うまい酒」が2次会の焼肉飲みで急転直下

その日は、ビジネスパートナー候補と新規事業の立ち上げの相談をしていたらしい。被告人は、親の遺産が入ったため、その金を元手に人材派遣の会社を立ち上げようと計画。将来的には塾の経営まで視野に入れた事業計画を進めていた。

やや安易な感じもするけれど、とにかく実業家として成功することを目標に、実務を任せられるパートナーを見つけ、やる気マンマンだったのである。

その話が一段落してから、打ち上げを兼ねて一杯やろうとなった。飲み屋では会社の業務内容を話し合ったのか、事務所の場所などを相談したのか、いずれにしても夢のある話になっただろう。うまい酒だったのだ。それで2次会は焼肉でも、ということになった。つまり、この日の被告人は上機嫌であり、ストレスを溜め込むような不快なことはなかったのである。

問題はただひとつ。1軒目で飲みすぎていたことだ。