メジャーリーグの球団数は30球団で、日本プロ野球の2倍以上。特定のチームと1年以上対戦しないこともある。それでも前回やられた仕打ちを覚えていて、1年越しに死球をぶつけることもよくあるのだ。正直、筆者にとっては死球合戦はあまり気分がいいものではないが、メジャーリーグを見ているとこのような光景を頻繁に目にすることになる。
また、「乱闘には全員参加しなければいけない」というアンリトゥン・ルールもある。参加しない選手には罰金が科されることもある。表向きは「乱闘がこれ以上拡大しないよう制止するため」だが、これも「やられたらやり返さなければいけない」という報復の原則に基づいたものであり、実際には直接プレーに関係していない選手同士が殴り合っていることも多い。
乱闘は英語で「ベンチが空になる」
「乱闘」は英語で「benches clear」と表現される。文字通り「ベンチが空になる」、つまり試合に出ていない選手も含めて「全員」がグラウンドに飛び出すという意味だ。「自分は争いたくないから乱闘に行かない」とチームの和を乱すことはできないよう、アンリトゥン・ルールで縛られているのだ。
ただし今回、1996~2004年までメジャーリーグでプレーした元野球選手のマック鈴木氏に、実際に罰金を支払った経験はあるかどうか尋ねたところ、「乱闘が始まればベンチを出ない選手はいなかったし、もしいたらチームから総スカンを食らうけど、罰金はなかった。制度としては、当時は存在していなかったと思う」と教えてくれた。なお、MLB本部にメールと手紙で「過去に選手がチームに罰金を払った事例はあるのか」と問い合わせたが、期日までに回答は得られなかった。
ちなみにマック鈴木氏によれば、「乱闘が起こった場合、関係ない選手は周囲で服の引っ張り合いをして、参加してるフリをすることもある」という場面もあるそうだ。