「超大国・中国」の是認発言の波紋

一方、ブレマー氏はこう分析しています。

「それまでの世界秩序を変えた宣言が2つある。1つは1991年のゴルバチョフのソ連邦崩壊宣言。そしてもう1つはトランプの訪中時に習近平が『中国は超大国になる用意ができている』と言い切った宣言だ」

「中国は金力にものを言わせて東アジア地域はもとよりグローバルに勢力を拡大させている。そのテクノロジー戦略は、官民一体となって(2045年までに「宇宙強国」を実現するという目標を掲げ)宇宙空間にまでインパクトを与えようとしている。その政策表明は他のどこの国によるものより影響力を持っている。さらにその当然の結果として『裏庭』(とくに南シナ海)への軍事的圧力を強めている」

「かつてアジアで米中がつばぜり合いを演じているというのは話のタネだったが、今や中国(の影響力増大)にどう対処し、それを受け入れるのか、がより現実論として出現しているのだ」

中国に足元を見られたトランプの「家庭の事情」

習近平国家主席がトランプ大統領を軽くあしらった要因はなんだったのでしょう。トランプ氏の脆弱な政権運営を習近平氏に見透かしていたからです。

トランプ大統領にとって17年を締めくくる師走は内政でも修羅場を迎えています。経済政策の柱とする税制改革がひとつ。

もうひとつは、ロシアゲート疑惑捜査を阻止する「防波堤」としてジェフ・セッション上院議員を司法長官に任命したために空席となっているアラバマ州補選です。12月12日に行われます。支持率が下降線をたどる中でトランプ大統領としては、この議席を守れるか否かはシンボリックな意味を持っています。

アメリカで吹き荒れる「わいせつ疑惑」追及の嵐

ところが共和党が選んだ同州最高裁長官ロイ・ムアー氏の10年前のわいせつ疑惑(※6)が発覚。それまで優勢だった選挙は一転、民主党候補(ダグ・ジョーンズ氏)に持っていかれそうな状況になってきました。

※6:10月にハリウッド映画界の重鎮、ハービー・ワインスタイン氏のわいせつ疑惑が発覚して以来、映画製作策者や有名俳優のわいせつ疑惑が次々と暴かれ、その余波は政界にも及んでいる。「ワイスタイン症候群」とまで言われている。

また選挙公約である「経済成長率3%超」の実現も不透明な情勢です。要となる税制改革が難航しているからです。法人税率の35%から20%への引き下げについては、下院では可決されましたが、上院では与党共和党内にも法案に慎重な意見があり、可決・成立の見通しは立っていません。法案の行方次第では米経済の先行きにも影響が出てくる可能性があります。