「革命」で大富豪が大貧民に落ちた

希望の党は、衆院選が終わるまでは小池氏直系のチャーターメンバーが幅を利かせていた。ところが選挙が終わると、敗北の批判はことごとく彼らに向けられた。議員総会で糾弾され、発言の機会もほとんどないまま「蟄居」の身となった。党所属議員は「トランプゲームの大富豪で『革命』が起き、大富豪が大貧民に落ちたような光景」だったと回顧する。

そのチャーターメンバーは今回、玉木氏についた。結果として勝ち馬に乗ったことで、チャーターメンバーは「復権」の足掛かりをつかんだ。「大富豪」とまではいかないが「平民」か「富豪」ぐらいまでは戻ることになりそうだ。

敗れた大串氏に近い議員からは「玉木氏は小池氏の傀儡。チャーターメンバーによる支配を受ける」と批判。玉木氏は打ち消しに躍起になっている。

このエピソードからも、玉木氏を担いだ議員と大串氏を担いだ議員の間の近親憎悪はかなり深刻であることが分かる。チャーターメンバーの中には「左派切り」して大串氏らと決別すべきだという意見もあるし、「勝つ見込みがないのに大串氏が共同代表選に出たのは、離党の言い訳づくりではないか」という観測もある。

仁義なき野党第1勢力争い

確執を生んでいる原因のひとつに立憲民主党の存在がある。希望の党から「排除」されても、志を曲げずに立ち上がった彼らは衆院選で有権者の支持を得た。

しかし、希望の党側から見れば、立憲民主党から出馬した候補は、裏切り者でもある。希望の党の苦戦は、小池氏の「排除」発言が大きかったことは言うまでもないが、立憲民主党が「排除」の被害者のように立ち回って同情票を得たことも大きいと希望の党側はみている。だから、立憲民主党との合流も視野に連携しようという大串氏たちは異端視されているのだ。