借金を返済するために筆を執り、直木賞を受賞した山本一力氏。その後もハイペースで作品を発表し続け、来年で借金を完済する見通しだ。どんな逆境にあっても、お金に振り回されることはなかった。その哲学とは――。

借金。売れない日々、しかし絶望はしない

2億円の負債を抱えたのは、映像制作事業で失敗した46歳のとき。勤め人では返済できない。さてどうしようと考えて、これはベストセラーを出して借金返済に充てるしかないと初めて小説を書き始めました。周りからは「自己破産してもう一回やり直しなさい」と言われたけれど、借りた金がチャラになるなんてそんなバカな話があるかと、自己破産はしませんでした。

「オール讀物」で新人賞を取ったものの、そこから『あかね空』で直木賞を取って小説で食えるようになるまでの5年間は、本当に生活が苦しかった。でも、一度も死にたいと思わなかったし、絶望もしなかった。