“一休さん”では企業側は物足りない
――転職のしやすさで、両者に差はありますか?
【C】社風やオーナーの考え方、業務内容にフィットするかどうかじゃないでしょうか。ただ、それより何より「この人に任せれば大丈夫だ」というスキルとパーソナリティを本人が持っていることが大前提でしょう。スキルの軸で言うと、やはり専門性の深さ。そこをいかに年齢とともに深めているかが重要。その年齢に合った、あるいはそれを上回る専門性の深さがあれば、どこの会社も興味を示すと思います。
【B】慎重な人は、相手から出てきたもので判断する傾向があります。「捕まえるから、虎を屏風から出してくれ」と言う頓知の一休さんのようなもので、自分で何かをつくり上げるんだっていう意識が足りないんです。企業側からすれば少々物足りない。「アナタはお膳立てがなきゃ何もできないの?」ということになる。でも、前向きで決断力がある人は、虎は自分で出そうとします。管理職層、マネジャークラスなら、こういう積極的な資質の持ち主のほうが転職しやすい。
【A】前向きと慎重の二面性を演じ分けられる人、けっこう知ってますよ。企業には黎明期、成長期、成熟期、変革期の4つのステージがありますが、このタイプは変革期の企業で活躍します。V字回復が必要なときで、トップにはアグレッシブなメッセージを発信し、疲弊している現場には対話と調和を重視する方向で取り組むんです。
こういう“二重人格”タイプには2つ特徴があって、まず昔は“出る杭タイプ”だったこと。上司に「ふざけんな」と食ってかかったような人が多い。もうひとつは、若い頃に海外に出ていること。日本の常識が通じない世界で「えーッ⁉ こんなのがありなのか」と「え⁉ (日本では常識の)これって無意味なのか」の2つを体験し理解しています。そういう人が年齢を重ねるにつれて段々と練れていって、二重人格というより賢さで振る舞いの見せ方を変えることができるんです。